アプリケーションの利用検証は、前回と同様にメール、インターネット閲覧、Word文書、動画再生について行った。
結論から言うと、EM・ONEを利用した場合では先に挙げたスタイラスとソフトキー、テキスト入力のスマートフォン独自の操作方法に慣れてしまえば、PCとほぼ変わりなく各アプリケーションの操作を行うことができる。
特にメールやインターネットの閲覧は、携帯電話よりもスムーズに行える。QWERTYキーボードを利用すれば、メール作成やURLを直接打ち込むような場合でも、携帯電話のテンキーで入力するより速やかに入力が行える。
これはWord文書の場合も同様だ。携帯電話では実質的に実質的に利用が難しい新規文書の作成や、画像データを貼り付けるような高度な編集作業は難しいものの、文字の装飾やフォント、サイズの変更といった基本的な作業は十分できる。
ExcelファイルもWord文書と同じように、基本的な数値やデータの入力、グラフ作成、関数計算はPCと変わらない感覚で行うことができる。さらに、操作に慣れるリモートデスクトップ上でマクロを組むというような高度な作業も可能だろう。
一方で動画再生は、スマートフォンを利用した場合でも、携帯電話と同様に視聴に堪える品質を得ることができなかった。携帯電話のリモートデスクトップでは毎秒1〜2コマ表示といった具合だが、それよりは表示コマ数が多いものの(4〜5コマ/秒ほどだろうか)、やはり視聴に堪えるものではなかった。
今回は検証できなかったが、研究開発センタユビキタス研究グループによれば、μVNC for Windows Mobile 5では設定画面で画面のエンコード方式を「ZYWRLE」に変更することで、動画をスムーズに再生できるという。ZYWRLEを利用するには、PC側のVNCサーバにZYWRLE対応のバイナリを入れておく必要があるという。
前回と今回の検証は、μVNCのコンシューマー向け製品を利用して行っている。利用したアプリケーションも一般的なものばかりだ。だが、携帯電話ではリモートにあるデスクトップPCの情報を見る程度、スマートフォンではアプリケーションの基本操作程度なら十分に行える。
ノートPCの持ち出しが厳しくなる中で、近年はシンクライアントPCを利用するケースも増えつつあるが、μVNCのようなソフトウェアを導入すれば、携帯電話やスマートフォンをシンクライアント端末のように利用できるといえそうだ。今回の検証環境は、企業レベルのシステム、セキュリティ、ネットワーク環境に比べれば十分とはいえないものの、μVNCはネットワークを介したモバイル機器の業務利用について、可能性の高さを感じさせた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.