“攻めの情報システム”に転じよ――NEC矢野社長

NGNの商用化を先導するNEC。矢野社長は、NGNがもたらすユビキタス社会において、情報システムは攻めの姿勢に転じる必要があると説明する。

» 2007年12月05日 15時46分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 NECは、ソリューションの総合展示会「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO 2007」を12月5日から7日まで東京ビッグサイトで開催する。NECとパートナー企業が共催するイベントで、最新技術やユーザー事例、ソリューションなどを紹介している。

 初日のNEC講演では、矢野薫代表取締役執行役員社長が登壇し、「NGN(次世代ネットワーク)により本格化するユビキタス社会」のテーマで講演を実施。NGNへの取り組みやそれがもたらすユビキタス社会、企業・個人・社会がもたらすイノベーションについて説明した。

image NECの矢野薫代表取締役執行役員社長

 2008年3月からNGNが商用サービスとして本格始動する。矢野氏は、「これまで100年に渡り、日本および世界が作ってきた通信ネットワークの歴史が書き換えられようとしている」と切り出す。

 オープンで多彩なサービスを提供するインターネットと、信頼性および品質の保障を兼ね備えた固定・携帯電話網が融合するNGNは、安心と安全性を備える次世代ネットワークインフラと、便利さ・快適さをもらたすサービスプラットフォームからなる。

 これにより、従来のネットワークが持っていなかった課金や位置情報、位置認証といった機能を提供し、電子決済や電子政府などの仕組みを作る基盤となる。これらの変化がもたらすものがユビキタス社会であると同社は位置付ける。

ユビキタス社会の企業経営に必要なこと

 コミュニケーション技術とコンピュータ技術の融合を意味するNECの理念である「C&C」が掲げられてから30年が経つ。コンピュータはオープン化・標準化に始まり、最近ではWeb2.0やSaaS(software as a service)、SOA(サービス指向アーキテクチャ)などにトレンドが移行した。またコミュニケーション分野では、ブロードバンドインターネットからモバイルネットワーク、そしてNGNへと発展している。

 ITとネットワークの融合が進むことで、情報システムの役割はビジネス創造の基盤へと変化するという。ユビキタス時代の企業経営に必要なこととして、「これまではコスト削減や生産性の向上という“守りの情報システム”だったが、これからは新たなビジネスを基にサービスを提供し業績を向上させる“攻めの情報システム”に転じる必要がある」と矢野氏は述べる。

 「米国のIT投資額は日本の2倍。日本のIT投資はグローバル規模で見ると遅れている」と矢野氏。NGNが整備されると、企業と消費者が直接かかわる機会が増加する。「企業だけでなく、消費者や顧客とコラボレーションして新たなビジネスを作る動きが出てくる」(同氏)。

 NECの今後について、「現場が日々の改善を心掛け、その効果が営業や開発部門へと広がっている。次の30年を形作るようなイノベーションを現場レベルの改善から取り組む」と矢野氏は語った。

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