その最も明白な例が、GPUをプロセッサパッケージに追加して、ビデオなどのマルチメディアアプリケーションのレンダリングを高速化するというものだ。AMDは既に、「Accelerated Processing Unit」というプログラム(以前は「Fusion」と呼ばれていた)の下、2009年にCPUとGPUを同じシリコン片に統合する計画を発表している。
AMDには「Torrenza」という計画もある。Opteron搭載システム向けのコプロセッサの開発を促進することを目指している。
AMDが2006年にATIを買収した理由の1つは、こうしたプロセッサの開発にシフトする際に、ATIのグラフィックスポートフォリオを活用することにある。その場合、GPUはソフトの命令スレッドを実行し、情報を小さく分割して同時に処理することができる。そうすれば、クロックスピードを向上させる方法に依存しなくても、さまざまなアプリケーションで高スループットと性能向上を達成できる。その結果として生まれるのが、GPUとCPUが協力して動作する、ムーア氏が言うところの「異種混在プロセッサ」だ。これは性能を向上させると同時に消費電力を減らすはずだ。アプリケーションがマルチコアプラットフォームをもっと活用できるようにもする。
「単に、特定の目的を持ったハードの方がずっと効率的だということだ」と同氏は言う。「CPUでビデオをデコードしたいとは思わないだろう。ビデオは横にある専用ハードでデコードする方がいい。また、これは20分の1の電力で同じ性能を発揮する」
AMDは主にデスクトップ向けの自社プロセッサに、この種のサブシステム――GPUは一例にすぎない――を加える方向へ進んでいる。ムーア氏は、現在ほとんどのデータセンターのサーバは、Webサービスや金融処理など、マルチコア技術の利点を生かせるアプリケーションを実行していると語る。2009年までに、AMDは最大8コアのプロセッサをサポートする最初のプラットフォームを提供する計画だ。
AMDはPCプロセッサだけに注目しているわけではない。同社は11月に、HPC(高性能コンピューティング)市場向けのFireStream 9170 GPUを発表した。ここでは、ATIと同じくGPUベンダーであるNVIDIAが以前から関心を持っていたHPC市場に焦点を合わせている。
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