宿泊客にも提供するザ・ペニンシュラ東京の新システムモバイルセントレックスのススメ(1/2 ページ)

2007年夏に開業したザ・ペニンシュラ東京では、宿泊客も利用するモバイルセントレックスを導入。付加価値を高めた新しい形態として注目されている。

» 2008年02月27日 07時15分 公開
[岡田靖,ITmedia]

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ザ・ペニンシュラ東京

 ザ・ペニンシュラホテルズの国内初の拠点として2007年9月に開業した「ザ・ペニンシュラ東京」は、全館に無線LANを整備し、モバイルセントレックスを導入している。同ホテルのシステムは、従業員だけではなく、宿泊客にもサービスを提供するタイプとしてユニークなものになっている。

 同ホテルでは、NECのIPテレフォニーサーバ「UNIVERGE SV7000」を中核とするモバイルセントレックス環境を館内に構築した。端末にはNECのFOMA/無線LANデュアル対応携帯電話「N902iL」を採用。全314室の客室に配置するとともに、従業員用にも約100台を配備している。

「便利さ」を追求した結果

 ザ・ペニンシュラホテルズとして、モバイルセントレックスを導入したのはザ・ペニンシュラ東京が初という。海外の拠点では、従業員の連絡用端末として「ページング(ポケベルに似た屋内用の無線呼び出し)」システムを利用。日本でモバイルセントレックスの導入した理由について、ザ・ペニンシュラ東京のインフォメーションテクノロジーマネジャーを務めるズルネディ氏は、「モバイル環境でもコミュニケーションを円滑できるようしたいと考えた結果だ」と説明する。

ITマネジャーのズルネディ氏

 「モバイルセントレックスは、通話以外にほかのシステムとの連携が容易にできる。トータルコストもさほどかからない」(ズルネディ氏)

 さらに、宿泊客へのサービスも含めたのは、「ザ・ペニンシュラホテルズとしては、常により良いサービスを提供したいと考えており、ビジネスなどで海外から来られる宿泊客へ1台の端末でどこでも通話ができる利便性を提供したかった」と話す。

 宿泊客はデュアル端末を利用して、館内では無線LAN網に、ホテルの外ではNTTドコモのFOMA網に接続して通話ができる。館外で利用する場合は、客室の電話機と同じように、まず「0発信」の操作をして外線通話を指定。FOMA網から一旦ホテル内のPBXを経由し、そこから宿泊客が指定した通話先へ発信される仕組みになっている。

客室内では卓上機と並んでN902iLが設置されている

 端末には、「0発信」のために独自プログラムが組み込まれている。通話料金は、ホテル内から発信したのと場合と同じであるため、デュアル端末では料金も含めて、客室の電話機をそのまま持ち歩く感覚で利用できるという。ズルネディ氏によれば、宿泊客から非常に好意的に受け止められているという。

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