新藤愛大――欲望という幻想を現実に変えるActionScripterNew Generation Chronicle(1/7 ページ)

ソフトウェアとハードウェアの両方に精通し、世の中を変革しようと牙を研ぐバイナリアンたちを紹介していく「New Generation Chronicle:バイナリアンスレッド」。第3回は、若くして国内のFlash/ActionScript界をけん引する新藤愛大氏に登場いただいた。

» 2008年05月12日 00時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
「New Generation Chronicle:バイナリアンスレッド」これまでの登場人物

 「長期でいい物を作り上げていくためには山にこもれ」――サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏が話したように、情報過多な都会から距離を置き、じっくりと未来を見据えた開発に取り組む姿勢ははてなの京都移転に代表されるように、いま見直されている姿勢であるといえる。

 それを無意識に感じ取ったのかは定かでないが、行動の種類こそ違えど、同一の思想に基づいて活動している人物も存在する。新藤愛大(Yoshihiro Shindo)――19歳という若さでありながら、国内でも屈指のActionScripterとして活躍する彼は、フリーランスとしてFlash/ActionScriptにその身をささげている。井上恭輔氏、上野康平氏に続く「New Generation Chronicle:バイナリアンスレッド」第3回は、若くして国内のFlash/ActionScript界をけん引する新藤愛大氏に登場いただいた。

yossyこと新藤愛大氏。弱冠19歳ながら、国内のFlash/ActionScript界をけん引する存在となりつつある

三度の飯よりActionScript

―― ネット上ではどんな名前で通していますか? その由来は?

ハンドルネームは「yossy」です。まんま、本名のもじりです。BeInteractive!というサイトをやっていまして、かぶることがほぼゼロなので「beinteractive」ともよく名乗っていますね。

―― 現在の仕事に就くまでの簡単な経歴を教えてください

小学校卒業後、立教池袋中学・高等学校、東京工科大学と進学したのですが、そのころ既にわたしの中でFlashの存在が大きくなっており(まるで恋人みたいですね)、大学に行っている場合ではないと思い、3カ月で中退、そこからフリーランスのFLASHer/ActionScriptエンジニアとして活動しています。

―― 現在、ブラウザ、メーラー、テキストエディタはそれぞれどんなものを使っていますか?

ブラウザはFirefox、メーラーはMail.app、テキストエディタはタブ機能を備えたSmultronを使っています。FirefoxにはGreasemonkeyと、FlashのtraceアクションをWebブラウザで見るためのFlashTracerぐらいしか入れていませんね。

―― 座右の銘は何ですか?

三度の飯よりActionScriptリング 三度の飯よりActionScriptリング

「三度の飯よりActionScript」です。「三度の飯よりActionScriptリング」もあるのですが、いっこうにはやる気配がありません。

―― 開発環境はどんなものを使っていますか?

基本はFlash CS3+FlashDevelopかAdobe Flex Builder 3です。コマンドラインで開発することはほぼありません。OSはMac OS Xで、昨年購入した1世代前のiMacで開発しています。そのため、FlashDevelopはParallels(+WindowsXP)で動かしています。

―― 最近メインで使っている言語は? なぜその言語に引かれたのですか?

既にここまでの質問の何回か出ていますが、ActionScriptです。理由は、Flashで動く唯一の言語だからです。言語仕様もかなり好きだったりしますが、そのすばらしさをくどくどと話す代わりに、以前Twitterに投稿したアホな文章を掲載しておきます。

 「かわいい女の子とFlashの共通点はとっつきづらいところ、かわいい女の子とActionScriptの共通点は反応が面白いところ、かわいい女の子とECMAScript4の共通点はちょっとやそっとでは理解し合えないところ」

―― 今一番興味のある言語は何ですか?

Processingはちょっとやってみたいですね。つい先日、Processing.jsというものも出てきたので、Processingを触るより前にProcessingをActionScriptに移植してしまうかもしれませんが(笑)。

―― 自分がニュータイプだとして、オールドタイプとの違いはどこだと思いますか?

インターネット普及の波に乗って自分も成長してきたことじゃないでしょうか。わたしは5年くらい前からFlashに触れ始めたのですが、そのころは個人製作のFlashが全盛期だったころでもあります。スキマ産業さんなどに代表される大御所の方はやはり当時からひと味違ってみえましたね。

―― コードを書きたくて書いていますか? それとも自分の欲求を満たす方法としてコードを書いていますか?

どうなんでしょう。わたしは「ほかの人があまりやっていないこと」をよくやる傾向があるようです。いわゆるひねくれ者ですね。例えば、ActionScriptでActionScriptインタプリタを書いたり、ActionScriptでswfバイナリを生成したり(swfassist)、他言語のノウハウを持ち込んでみたり(AS3UnitAOContainerThread)、サーバサイドでActionScriptを動かしてみたりといった具合です。こうしたユーモアは世界に対抗するもう1つの武器たり得ると思います。

 同業者の人から「お前アホやろ」とか言われるのは結構好きなので、そう言う意味では自分の欲求を満たすためといえるかもしれませんね。ありのままの自分を出すほうが自分を偽って見せるより得るものは大きいのではないでしょうか。

―― ここ数カ月で1番のニュースは?

ActionScript系バイナリアンのための勉強会、Shibuya.abc(abcは“ActionScriptByteCode”の略)が本当に開催されてしまったことです。一応、わたしが主催なんですが正直驚きました。

 ActionScriptの勉強会でさえあまり開催されていないのだから、バイナリの話なんか参加者3人ぐらいしか来ないだろうな、と思っていたのですが、思いのほかハック好きな人は多かったようです。ただその中に純粋なActionScripterが何人いたかは疑問ですが(笑)。

 Shibuya.abcでサイボウズ・ラボの鴨志田良和さんは、サイズ制約のきついFlash Lite 1.xで、SWFのサイズを減らすテクニックなどについて語ったのですが、Shibuya.abc“っぽい”ところを押さえているなぁと思いましたね。実際、かなり注目を集めていましたし。

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