ベリングポイントの人事戦略コンサルタントが、日本の中堅中小企業における採用および定着化戦略について提言する。切り札の1つは「アナログ」だ。
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「中堅中小企業のタレントマネジメント戦略」と題して、米大手コンサルティングファーム、ベリングポイントの組織・人事戦略コンサルタントが、日本の中堅中小企業を取り巻く事業環境や人材マネジメントの潮流を踏まえ、戦略からIT活用に至るまでさまざまな観点から具体的なアドバイスを提供する。第1回は中堅中小企業における採用と定着化の戦略について提言する。
大企業が「新卒の若者が3年で会社を辞める」ことを問題視しているのを横目に、中堅中小企業はそれ以前の課題で苦労している。具体的には「目先の業務に対応するための人材を確保できない」「募集広告を出しても応募がない」「育てあげた有能な人材が高報酬を提示する大企業に引き抜かれてしまう」などである。
中堅中小企業では有能人材の「採用」と「定着化」こそ、企業業績を左右する重要な要素である。そこで「中堅中小企業のタレントマネジメント戦略」の第1回目は、この採用と定着化の2点をテーマに具体的な方策を述べていきたい。
「5つの時期に応じた採用戦術で大企業と差別化せよ」
大企業による大量採用の煽りを受け、中堅中小企業は採用氷河期に突入したといわれる。採用戦略のコンサルティング依頼も増加している。中堅中小企業の採用戦略を考える場合、プロセスを次の5期に分け、各期にあった採用戦術を取るようにアドバイスしている。
本稿では、各期に有効な採用戦術を1つずつ紹介する。
中堅中小企業の最大の差別化要素は経営者である。そのため、認知期において、経営者の魅力を前面に打ち出した広報を実施することが有効である。しかし、経営者の露出は諸刃の剣である。使い方を間違えると母集団を減らしてしまいかねないので注意が必要だ。例えば、認知期においては事業戦略や経営者としての想いを、広く応募者全般に熱く語ってもらう。ただし、ここで個々の応募者に対して意識変革を促すような態度を示すことは、時としてワンマン経営者的なマイナスイメージをうえつけることになりかねない。時期による使い分けが必要である。
認知期において、知名度で劣る中堅中小企業が大企業と同じ採用プロセスで臨んでも勝てない。大企業と差別化した母集団形成の戦略が必要だ。認知期は企業と経営者の魅力を知ってもらうことだけに注力することが重要だ。この時期に、入社後の本人の姿を一方的に提示したり、急いで入社の決断を促したりと、後のプロセスで実施すべき事項を先にやる必要はない。まずは、当該企業のことをよく知ってもらうことが重要である。最初から自覚を促すコミュニケーションをとると応募者は冷めてしまう。順番を間違えてはならない。
中堅中小企業の母集団形成期における具体策は次の3つである。
業界研究会や研修形式の企画型説明会で通常なら応募してこない層を取り込む
DMやWeb広報では、映像を駆使しつつ幅広い候補者に魅力的な言葉で語りかけ、説明会は少人数で開催し候補者との双方向コミュニケーションを行う
人材獲得するのはトップの仕事と位置付け、経営者が自らじっくりと説明する
「手軽に導入できるSAP」を中堅企業に届ける
「SAPはハードルが高い」というイメージが払拭されつつある。長期的な費用を考慮すると、SAPは実は安価と考え、SAP Business All-in-Oneを導入する中堅企業が増えている。SAPが提供する実現機能確認シートに注目だ。一覧をチェックすれば購入前に費用の詳細が分かる。機能追加の際の費用も「見える化」できる。
なぜSAP ERPを導入するのか――女性衣料品通販ピーチ・ジョンの場合
ピーチ・ジョンは、女性向け下着などのカタログ通販で人気を集める。ピーチ・ジョンが、2009年の稼働を目指してSAP ERP導入プロジェクトに取り組んでいる。ネット販売店舗が急拡大し、継ぎ足すように対応してきたシステムをSAPでどう変えていくのか。2007年11月のワコールの完全子会社化に伴い内部統制強化も課題となっている。
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