インターネットプロトコル(ソフトウェアとインターネットを接続するレイヤー)は現在バージョン4(IPv4)からバージョン6(IPv6)に移行中だ。UbuntuはIPv6対応だが、多くのインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)はまだ移行していない。ISPやブロードバンドルーターが正しくIPv6をサポートしていないと、インターネットへのアクセスが遅かったりまったく使えなかったりする。
フォーラムを見る限り、UbuntuがIPv6対応を標準にしたのは時期尚早だったようだ。IPv4だけを有効にすることはできるが、それには構成ファイルの変更が必要だ。時代を先駆けるのは結構だが、IPv4に簡単に戻せるようにすべきだ。
Webの閲覧が遅く見えたために多くの初心利用者がUbuntuを去ったことだろうし、使用しているネットワークハードウェアがサポートされていないのだと思い込んでいる人もいるのではなかろうか。本当は、IPv6と互換性がなかったためなのだが。
IPv4とIPv6を切り替えるチェックボックスを1つ付けるだけで、多くの利用者の悩みが解消されるだろう。
電源管理はノートPCの利用者にとって極めて重要な問題であり、デスクトップコンピュータの場合もスマートな起動・停止法として使える。
Canonicalは電源管理に関する取り組みを強化すべきだ。ほとんどの利用者にとって、ノートPCが適切にスリープしないと壊れることになるからだ。Ubuntuはハードウェアのテストと報告を受け付けているが電源管理にかんするわたしの経験について詳細を促すことさえしなかった。
Windows版電子メールクライアントから電子メールを取り込みたいという新規利用者も多い。もしWindows版がThunderbirdであれば、慣れない作業にはなるだろうが、調査と幾分か複雑なファイルコピーで取り込むことができる。しかし、最も普及しているOutlook Expressを使っていた場合は、ことははるかに複雑だ。
分かりやすい解説書か電子メール移行ツールがあれば、移行作業はもっと取っつきやすいものになるだろう。電子メールの移行はよくあることであり必須の作業だ。従って、電子メール移行ツールがないのは機能が弱いというより欠陥というべきだろう。
初心利用者向けに解説書を用意してはどうだろうか。「インターネットとネットワークのトラブル」「ディスプレイの設定方法」といったものだ。この記事のような、利用者が遭遇しがちなよくあるトラブルと簡単なヒント集を作ってもよい。
Ubuntuのパッケージ管理は品そろえが豊富で、それだけでも乗り換えを促す大きな誘因だ。しかし、リポジトリに目当てのパッケージがない場合や古いバージョンしかない場合はソースからパッケージをビルドしなければならない。
ソースパッケージのビルド手順では、多くの場合、パッケージマネージャが持つインストール済みパッケージとの同期機能が働かない。なぜ CanonicalはCheckinstallと連動するGUIビルドツールのいずれかを標準化しないのだろうか。Checkinstallはコンパイル済みのアプリケーションをインストールするだけでなく、パッケージマネージャと連携してシステムの状態を同期させることもできる。
以上の10の問題点はいずれも比較的簡単に改修できるが、それに嫌気して離れてしまった初心利用者もいることだろう。これを解消すれば、Ubuntuを試用した人はいままで以上に好ましい印象を受け、使い続けてくれるのではないだろうか。
Michael Reed ライター。テクノロジー、レトロなコンピューティング、オタク文化、ジェンダーなどをテーマに執筆。ミュージシャン、サイクリスト、コメディー作家でもある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.