では、具体的な改善策にはどのようなものがあるのか。石橋氏は運用改善のポイントを3つ示す。1つは、データセンターの設備環境レベルでの改善。冷却風と排出熱を混合させない、ホットアイルとコールドアイルを分離するラック配置はすでに常識であるとして、床下ケーブルの整理などによるエアロフローの改善も地味ながら効果があるという。もちろん、高効率の空調機器の導入が前提となるが、他にも直流電源の引き込みやグリーン電力の活用も重要だ。
2つ目は、データセンターの運用における見える化・自動化だ。ラックやサーバルームの温湿度、電力状況をセンサーで監視し、設備の稼働状況をコントロールすることで省電力化対策会議がアセスメントを実施すること。また、熱対流シミュレーションやBEMS(ビル・エネルギー管理システム)などを導入し、機器の電力消費状況、需要予測、エネルギーコストなどの外部情報などをトータルに制御することが有効だという。
そして3つ目は、ITリソースの有効活用と余剰リソースの削減である。これには、サーバ/ストレージ等の集約・統合化、システムのシンプル化の他、待機サーバも6〜7割も電力を消費していることから、今後は仮想化技術によって電源を完全に停止する技術が非常に効果を発揮するという。
石橋氏は、「省電力機器や設備の開発・普及、さらにはデータセンター環境の最適化を通じて、事業活用でのグリーンITを、国、事業者、ユーザー企業が協調して有機的に推進し、環境負荷軽減をシステマティックに実現することが求められている」と強調する。
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