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» 2008年10月10日 08時19分 公開

2010年の2000年問題を回避:ディップソール、SAP Business Oneで受発注データのズレを解消

金属表面処理剤を製造販売するディップソールは、販売/購買/在庫/生産管理を刷新した。20年使い続けたAS/400ベースのシステムよりも数値のミスが減り、管理業務の負担も大幅に減った。

[怒賀新也,ITmedia]

 「2000年問題は単純に時計を10年過去に戻して回避した。もう1度訪れる“2000年問題”にまた時計を戻して対処するか、システムを作り直すのかで迷った」

ディップソールの小苗道哉氏。「2度目の2000年問題は避けた」という

 金属表面処理剤を製造販売するディップソールでシステム管理を担当する小苗道哉氏は話す。20年前に構築したAS/400ベースの基幹システムを10年おきにバージョンアップして運用してきた。90年代後半に一度ERP導入を検討したものの、その時点では見送り、2000年問題はシステムの時計を10年戻して対応した。

 だが、発注データと月末の請求書を突き合わせると不整合がおきたり、正しい数字が出なかったりなど、システムの老朽化は隠しようもなくなってきた。AS/400を扱える保守担当者が定年でいなくなるといった事情も加わり、ERP導入を決断した。新システムに何よりも求めたものは、経営数値を正確に把握できる仕組みだ。都道府県別の売上高や商品別の利益や販売数量など、必要なデータをすばやく正確に取得できる仕組みを構築する。業務プロセスの標準化によるコスト削減も図る。

選定の決め手はコスト

 ERP製品の選定にあたり、国産のパッケージを第一候補に考えていたという。自社の業務との親和性が高い点を評価していた。だが、実際に設計を考えてみると、帳票の追加開発が多数発生することが判明。全体のコストが想定以上に大きくなるため、この国産パッケージの利用を見送った。

 結果として、採用したのはSAP Business Oneだった。国産パッケージの半分程度のコストで済みそうな点と、「Windowsのような直感的な使い勝手が若い社員に受け入れられた」点が決め手になったという。

 またSAP Business One専用の生産管理モジュール「be.as」を利用できる点も重視した。ディップソールには、液体を混ぜ合わせて製品をつくるといった工程がある。例えば、調合の加減などにより100キログラムの製品が結果として101キログラムになってしまうといったケースがあり、be.asはそうした通常の製造業にはない処理がしやすいという。システムインテグレーターのIMGジャパンがこの製品の導入ノウハウを持っていたため、同社にシステム構築を依頼することにした。

 新システムの導入スコープは、販売管理、購買管理、在庫管理、生産管理。別システムとして構築した会計とのインタフェースプログラムの作り込みも含む。2007年3月のキックオフミーティングから7カ月半後の11月に稼働を開始した。

3人のシステム担当者を1人に減らす

 システム導入後の効果として小苗氏は「売り上げのレポートをすぐに見たいという経営層の要求に応えられるようになった」と指摘する。商品の販売状況などについて、以前は大きな分類でしか見えなかったが、新システムでは6階層別で確認できるようにした。顧客の所在地別や国別といった切り口でも参照できる。

 出荷業務の正確性の向上も大きな成果だった。「受注ひも付き発注機能」により、受注と発注が完全に連携したため、両社にズレが一切発生しなくなったという。以前は、発注データを入力することなく受注処理を実施してしまうユーザーがいたため、正確な数値を把握できなかったという事情がある。「数字のミスが少なくなった」と小苗氏は笑う。

 さらに、業務の標準化と自動化が進んだため、システムの運用に手間が掛からなくなった。小苗氏の作業量は以前は1日8時間フルタイムだったが「現在は1時間程度になった」という。3人いたシステム担当者のうち2人は別の仕事を担当することになるなど、運用負荷の面では明らかな導入効果があったようだ。

 一方で、不満も幾つかある。小苗氏は「帳票のレイアウトが柔軟性に欠ける」と指摘する。例えば、顧客ごとの売上高リストにおいて、1つの案件ごとに小計を確認したいといったニーズにはBusiness Oneは現状対応しておらず、不便という。ただし「帳票システムの変更を検討するほどではない」。また、名古屋など地方拠点のユーザーからは、ネットワークの処理が重いといった問題点も届いたという。

 導入作業を手掛けたIMGジャパンについては「いつも5、6人で手厚い作業をしてくれた」(小苗氏)と高く評価する。ただし、ハードウェアについては専門的な知識を持つコンサルタントが少なく、データベースのデータ量やディスク、CPU、メモリの構成などは自前でやる必要があった。

 システムを運用するハードウェアは、Dell製のPCサーバ3台。本番用は1台、2台はテスト用だ。コストは100万円程度としており、AS/400に比べハードウェアは大幅にコストダウンしている。導入にかかった総コストは公表していないが、およそ5000万円前後とみられる。SAP Business Oneを導入して稼働に成功した結果を考えると、低コストでのERPに成功した事例といえそうだ。

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