四家 自分は商売のコミュニケーションツールとしてブログを使うことを、世の中に先駆けてやった存在の1人だと思います。2003年の冬くらいから、ブログがマーケティングプロモーションに使えると考え始めました。まずはテストのつもりでプライベートのブログを始め、体験を通じて知識をためてからMovable Typeを使って自社のHPを構築し、同時に自社のオフィシャルブロガーとして「広報室ブログ」を開設しました。個人ベースのころは、気楽におしゃべりするように書けたのですが、会社の名前を背負うようになって記事を書くことがぐっと恐ろしく感じられたのを覚えています。
こうして、企業としてブログを使う上でのさまざまなヒントを公私のブログによって得ることで、結果として弊社のブログマーケティング事業をスタートさせ、書籍にまとめることがでさらに拡大させることができました。自分でやってみる、楽しんでみることでビジネスに結び付けた形です。
モダシン 私は、2002年11月からブログを始めました。それ以前から会社のWebサイトの運営を担当していたのですが、じつはHTMLは大嫌いでした。だから、個人でホームページを持ちたいなんて、考えもしませんでした。
その後、初期のblogger.comなんかも使ってみたりしましたが、大したことないなと思っていました。ところがだんだん素敵なデザインのWebサイトが目につくようになる。調べてみると、それらがことごとくMovable Typeでできていたのです。それですぐに自分もインストールしてみたのですが、ブログは書かないとデータがたまらない。最初は、データをためるためにブログを書き始めたというわけです。そこから、コメントがつくようになり、それがうれしくてまた書く。「自分のブログを見てくれる人が、きっと100人はいるだろう」。そうなると、「その読者を裏切っちゃいけない、書かなきゃ」となる。そうやって続けてきたら、ここに集まっているような人たちと友達になれたのです。こういった友達は、会社の上司、部下の関係とはまったく違う存在です。ブログは、そのあたりがすごくいいなと感じています。
徳力 私は、ブログに人生を助けてもらいました。もともとはNTTに所属して、IRサイトなどの管理を行っていたのですが、「インターネットは仕事で使うもの」ぐらいに思っていました。そんな感覚のまま、アリエルというベンチャー企業に転職します。そのころブログを試したのですが、文字化けしてしまい「こんなもの二度とやるもんか」と思ったり、本を書くようにブログを書こうとして挫折したり、という時期がありました。
実は転職してからの私は、ある意味閉じこもっている状況でした。自分にとっては「コミュニティ=企業」だったのですが、ベンチャー企業ですから社内には十数人のコミュニティしかない。そのまま数年、閉じられた世界の中だけで過ごしてしまいましたが、ブログとSNSと出会ってその状況が大きく変わりました。2004年の春くらいからブログを本格的に始め、そうしたら会社の外に新しいコミュニティができたのです。
速水 私がブログを始めたのは2003年9月です。まだココログが始まる前で、ライターの同業者がブログをやっていたというのが始めたきっかけです。ライターとはいっても、当時は名前が出るような仕事はしておらず、それもあって2005年まではブログも匿名で書いていました。2005年ころから、ブログをきっかけに原稿依頼がくるようになり、やがて本を出版することになります。そのころから「速水健朗」の名前を出すようになりました。
無記名ライターの時代も、実は本を出したくて出版社に企画を持ち込んだりもしていましたが、それらは採用されることはありませんでした。ところが、ブログ経由では、執筆の依頼が来て書籍化が実現したのです。2007年に最初の本が出て、ライターの仕事の中身も大きく変わりました。
小飼弾 僕は、20代のころはゴーストライター、ゴーストトランスレータとでもいうか、名前を出さずに書く仕事をやっていました。とはいえ、本を書きたいなんて思ったことはありませんでした。ところが、いまは5本ぐらい本を書いている状態で、依頼だけなら2桁はありますね。
徳力 たしかに、ブログのおかげで執筆の依頼がたくさん来るようになりました。いまでは、むしろブログでまずは書いてみて、それでよかったら本にするという流れも出てきてますね。
ブログを始めて人生が変わったと語る皆さん。次回:ブログが変えたインターネットの地位は、ブログがインターネットにどのような変化をもたらしたのかを話してもらいます。
参加者 | 執筆ブログ |
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いしたにまさきさん | みたいもん! |
小飼 弾さん | 404 Blog Not Found |
コグレマサトさん | ネタフル |
四家正紀さん | 次世代ビジネスリサーチ室ブログ |
徳力基彦さん | tokuriki.com |
永沢和義さん | Modern Syntax |
中島ひなさん | HINALOG2.0 |
速水健朗さん | 『【A面】犬にかぶらせろ!』 |
いちるさん | 小鳥ピヨピヨ モデレータ |
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