記者C クラウドビジネスの一環として2008年にはSaaSがブレークした。今はCRMやグループウェアを中心とした情報系アプリケーションがSaaS型へ移行しつつあるが、今後はとくに中堅・中小企業向けの基幹業務系でSaaS利用が拡大するんじゃないかな。
記者B 大手企業の基幹業務アプリケーションは、まだまだ作り込みが多かったり、パッケージでもカスタマイズが多くてSaaS型への移行は困難だ。が、中堅・中小企業のものはその点、パッケージからSaaSへとスムーズに移行できる環境が整えば、むしろSaaSによるコストメリットを享受できるようになる。5位は「基幹業務系でもSaaS利用拡大」ということでどうかな。
記者A いいんじゃない。その裏返しになるかもしれないが、システムを構築するSI業者にとっては、SaaSをはじめとしたクラウドビジネスへのパラダイムの変化に対応していかないと生き残れない時代が早晩やってくる。SI業者の生き残り競争はますます激しくなると思うね。
デスク では5位との関連もあって、6位には「SI業者のサバイバル競争が激化」をエントリーしよう。さらにクラウドの話題に関連していうと、クラウドサービスの普及とともに、これまで以上にシステム障害が目立つようになるんじゃないかな。サービスの増大とともに障害の数も増えて、多くのユーザーがクラウドのウィークポイントを実感することになると思う。これは少ないに越したことはないが、クラウドサービスが今後多くのユーザーに受け入れられるようになるためにも、避けて通れないステップのような気がする。
記者B ではデスクの提案で、警鐘の意味を込めて「クラウドサービスでシステム障害が頻繁に発生」というのをエントリーしよう。パソコンの話題も上げておこうか。昨今、超低価格パソコンが台頭しているが、どのメーカーも利益確保には苦労しているようだ。今後はたとえ大手メーカーでも、利益を出せなくなれば、撤退を余儀なくされるところが出てくると思うよ。大手が相次いで撤退、なんてこともありえるんじゃないかな。
記者C 端末の流れで僕からも1つ。任天堂が11月に発売した新型携帯ゲーム機「ニンテンドーDSi」にぜひ注目したい。従来のDSよりインターネット接続機能がさらに強化されており、ますます情報端末として利用できるものになっている。新たな用途を期待したいね。
デスク では「ニンテンドーDSiの情報端末利用が拡大」も10大ニュースの一角に入れよう。
記者A 最後の1つは、IT業界の使命という意味も込めて「グリーンIT化が加速」と行きたい。とくに今後は、ITそのもののグリーン化だけでなく、各分野でのITによるグリーン化を押し進めていかなければならない。しかも「エコロジーはエコノミー」であることをしっかりと認識したい。これも、ひいては今回1位にあげた景気回復の原動力の大きな要素だからね。
デスク これで2009年の10大ニュースの予測が出揃った。表にまとめて読者の皆さんに参考にしていただこう。最後にあらためて、厳しい時だからこそ「ITを景気回復の原動力に」したい。僕たちもそういう情報をどんどん提供していきたいね。
記者全員 一緒にがんばりましょう!
PlanIT編集チームが選んだIT業界の2009年10大ニュース
順位 | 予測したニュース | その根拠 |
---|---|---|
1 | ITを景気回復の原動力に | ITによって企業の競争力強化や地方活性化などを推進すれば…。 |
2 | クラウドビジネスに向けた合従連衡が活発化 | クラウドビジネスにはこれまで以上に総合力が問われる。“寄らば大樹”の勢力争いに。 |
3 | MicrosoftがYahoo!の検索事業を買収 | ケリがついた問題とみられているが、条件が整えばMicrosoftは再び触手を伸ばす。 |
4 | GoogleとSalesforce.comが資本提携 | すでに緊密な提携関係にあるが、クラウドの覇者を目指してさらなる結束へ。 |
5 | 基幹業務系でもSaaS利用拡大 | とくに中堅・中小企業向け基幹業務にSaaSのコストメリットが威力を発揮しそう。 |
6 | SI業者のサバイバル競争が激化 | クラウド、SaaSへのパラダイムの変化に対応できうるSI業者のみが生き残れる。 |
7 | 大手パソコンメーカーが相次いで撤退へ | 超低価格パソコンが台頭する中で、利益を出せなくなったメーカーは撤退を余儀なくされる。 |
8 | グリーンIT化が加速 | ITそのもののグリーン化だけでなく、各分野でのITによるグリーン化が一層求められる。 |
9 | クラウドサービスでシステム障害が頻繁に発生 | クラウドサービスの拡大に伴いシステム障害が目立つようになる。2009年はそれを実感する。 |
10 | ニンテンドーDSiの情報端末利用が拡大 | インターネット接続機能が強化されたDSiは情報端末としての利用価値も大いにある。 |
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