AIXのLVM機能を使い、RAID 0+1を構成するUNIX処方箋

現場ですぐに役立つ知識を欲するあなたに贈る珠玉のTips集。今回は、AIX 5.xのLVM機能を用いて、RAID 0+1環境を構成する手順について解説します。

» 2009年05月20日 12時00分 公開
[ITmedia]

AIX 5.xのLVM機能を用いて、RAID 0+1環境を構成したいと考えています。通常の論理ボリュームのミラーリングと手順は異なるのでしょうか? 具体的な手順を教えてもらえますか?


手順としては、後記のようになります。

  • RAID0+1を構成する物理ボリュームを同一のディスクグループに登録する
  • 論理ボリュームをRAID0で作成する。このとき、物理ボリュームも指定する必要がある
  • 作成した論理ボリュームにファイルシステムを作成する
  • ボリュームグループのミラーリングを行うことでRAID 0+1を実現する

 具体的な構成例として、物理ボリュームhdisk4、hdisk5、hdisk6、hdisk7の計4つを使って以下の環境を作り、/testとしてマウントするまでの手順を解説します。

ボリュームグループ:testvg

論理ボリューム:testvol(hdisk4、hdisk5のストライプ)

testvol用ミラーボリューム:hdisk6、hdisk7


 AIXの慣習に従って、ボリュームグループ名の末尾にはvgを、論理ボリューム名の末尾にはvolをつけています。

物理ボリュームをボリュームグループに追加

 まず、テキストベースのシステム管理ツールsmittyにおいて次の順番でメニューをたどり、表1のように設定します。

  • [システム記憶域管理(物理および論理記憶域)]-[論理ボリューム・マネージャー]-[ボリューム・グループ]-[ボリューム・グループの追加]-[オリジナル・ボリューム・グループの追加]
パラメータ 設定内容 説明
ボリュームグループ名 testvg ボリュームグループの名前を指定。ここでは先に決めた「testvg」としている
物理区画サイズ 任意 物理区画サイズ(PP size)は、後述する論理ボリューム(PV)を作成する際の単位(unit)になる。とくに指定がない場合は、空白で構わない。ディスクのサイズに合わせて、システムが自動的に適切な値を指定する。また設定できる値は、1〜1024Mバイトの間で指定できるが、2の倍数で指定する必要がある
物理ボリューム名 hdisk4、hdisk5、 hdisk6、hdisk7 使用するディスクボリューム名(hdisk*)を指定
表1 物理ボリュームをボリュームグループに追加する際の設定

hdisk4とhdisk5のストライピング論理ボリュームを作成

 smitty上で次のようにメニューをたどり、表2のように設定します。

  • [システム記憶域管理(物理および論理記憶域)]-[論理ボリューム・マネージャー]-[論理ボリューム]-[論理ボリュームの追加]
パラメータ 設定内容 説明
ボリュームグループ名 testvg 表1で作成したボリュームグループを指定
論理ボリューム名 testvol 任意のボリューム名を指定する(ここではtestvol)
論理区画の数 testvgの全体物理パーティション(PP)から2PP引いた数 testvgの全体物理パーティション数は、lsvgコマンドの出力結果(TOTAL PPs/FREE PPs)の値で確認できる
物理ボリューム名 hdisk4、hdisk5 物理ボリュームを指定する。指定しない場合、ボリュームグループに含まれるすべての物理ボリュームが対象となるため、RAID O+1を構成できなくなる点に注意が必要
物理ボリューム・タイプ jfs2 使用するファイルシステムを指定(ここではjfs2)
ストライプ・サイズ 64K 4K〜128Kの間の任意の値を指定できる(ここでは64Kとした)。またこの数値は4の倍数で指定する必要がある。「Not Striped」を指定するとストライプにはならないことに注意
表2 ストライピング論理ボリューム作成時の設定

ファイルシステムの作成

 smittyで次のようにメニューをたどり、表3の内容を設定します。

  • [システム記憶域管理(物理および論理記憶域)]-[ファイルシステム]-[ファイルシステムの追加/変更/表示/削除]-[拡張ジャーナル・ファイルシステム]-[拡張ジャーナル・ファイルシステムを事前定義済み論理ボリュームに追加]
パラメータ 設定内容 説明
論理ボリューム名 testvol 表2で作成した論理ボリューム名を指定
マウントポイント /test 任意のマウントポイントを指定
システム再始動時に自動的にマウントする 「はい」または「いいえ」 OSの起動時に自動的にマウントするかどうかを指定
ログの論理ボリューム INLINE 通常は別パーティションに作成されるが、ここではストライピングを用いるために論理ボリューム(testvol)内に含むとしている
インライン・ログ・サイズ(MB) 1PP分 ジャーナルログの領域を指定(最小で1PP分必要)。なお今回はsmittyを使用しているが、コマンドラインでログサイズを指定せずに作成した場合、ログサイズはファイルシステムの4%が自動的に確保される
表3 ファイルシステム作成時の設定

論理ボリュームtestvolのミラーリングを作成

 smittyから次のようにメニューをたどり、表4の内容を設定します。

  • [システム記憶域管理(物理および論理記憶域)]-[論理ボリューム・マネージャー]-[ボリューム・グループ]-[ボリューム・グループのミラーリング]
パラメータ 設定内容 説明
ボリューム・グループ名 testvg 表2で作成したボリュームグループを指定
ミラー同期モード バックグラウンド バックグラウンドを選択
物理ボリューム名 hdisk6、hdisk7 ミラーリング先の物理ボリュームを指定
各論理区画のコピーの数 2 いくつミラーを作成するかを指定(最大3面)
正確なLVマッピングを作成する はい 各PPの位置も正確にミラーリングする
表4 ミラーリング作成時の設定

ファイルシステムのマウント

 「mount /testvol」コマンドを実行し、作成した論理ボリュームtestvolをマウントします。

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