セキュリティ機能の統合とクラウド連携を促進――McAfeeのCEOサイバー犯罪への対抗を掲げる

米McAfeeのデウォルト会長兼CEOが来日し、セキュリティ対策の統合化とクラウド連携を柱とする事業戦略を発表した。

» 2009年05月21日 14時03分 公開
[國谷武史,ITmedia]
デウォルト会長兼CEO

 マカフィーは5月21日、都内でセキュリティカンファレンスを開催し、米McAfeeの会長兼CEOデビット・デウォルト氏がセキュリティ対策の統合化とクラウド連携を柱とする事業戦略を発表した。

 デウォルト氏は冒頭、2008年のセキュリティの脅威について紹介。前年に比べてマルウェア発生件数が500%、コンプライアンス違反が40%、個人情報の盗難・犯罪が22%それぞれ増加し、新種マルウェアの80%以上が情報盗難を目的に作成されていたと述べた。

 同氏はまた、セキュリティの脅威が組織犯罪化の様相を呈し、世界的な不況によって企業情報の盗難といった犯罪リスクが高まっているとも指摘。「コスト削減ニーズが強まる中で、少ない投資で脅威を防御できるセキュリティ対策が求めらている」(同氏)と話し、過去2年間で総額20億ドル規模の研究開発や事業投資を行ったとしている。

 2009年の製品戦略では、クライアント(エンドポイント)、ネットワーク、コンプライアンスの3分野でセキュリティ機能の統合を推進し、管理ツール「ePolicy Orchestrator(ePO)」で一元管理する仕組みを取り入れる。また、同社のセキュリティ研究部門で収集した情報や約4700万のユーザーから寄せられる脅威情報をデータベース化し、「Artemis」というクラウド型サービスとしてユーザーやパートナー企業へリアルタイムに提供する。これにより、定義ファイルだけに依存しない未知の脅威への対策が実現すると説明した。

機能統合のイメージ(左)とArtemisの仕組み

 エンドポイント向けでは、ユーザーベースのポリシー管理に対応したePO 4.5、企業向けWebセキュリティ製品、Mac対応、Artemis対応や振る舞い検知技術を向上した企業向けのVirusScan Enterprise 7.0を年内に順次リリースする。ネットワーク向けでは、UTM(統合脅威管理)やWebレピュテーションなどの企業導入を促進させたいとしている。

 コンプライアンス対応では、ePOと脆弱性管理ツール「Foundston」、監査ツール「Policy Auditor」を統合し、ePO上での一元管理や分析、リポーティングを可能にさせるという。同社ではこれらのセキュリティ機能をAPIとして公開しており、デウォルト氏は協業ベンダー各社がMcAfeeの機能を自社製品に組み込めるメリットも紹介した。

 デウォルト氏は、「セキュリティ専業ベンダーのトップ企業になるための施策として推進し、確固たるポジションを築く」と締めくくった。

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