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Xen Cloud Platformに込めるCitrixの野心

エンタープライズのデータセンターではVMwareに後れを取ったCitrix。しかし、クラウドではさまざまな手段を講じて先行しようとしている。米Citrix Systemsのバーチャライゼーションマネージメント部門でCTOを務めるサイモン・クロスビー氏はXen Cloud Platformに重要な意味があると話す。


 米Citrix SystemsがXenSourceの買収を発表し、サーバ仮想化とデスクトップ仮想化の両市場に参入し、元パートナーのVMware社と直接競合することになって2年が過ぎた。

 しかしこの間、Citrixが市場に対して行ったアピールは、VMwareのそれに比べれば微々たるものであったといってよい。現に、仮想化市場においては、CitrixはいまだVMwareの後塵を拝している。

 だが、CitrixはXenSourceの技術をどう扱うかようやく決断し、その計画を実行に移しつつある。同社が3月にXenServerを無償化したことは記憶に新しいが、たたみかけるようにして新たな施策が示された。自らが運営母体となっているオープンソースのハイパーバイザ「Xen」の開発プロジェクトXen.orgが8月末に発表した「Xen Cloud Platform(XCP)イニシアチブ」がそれだ。

Xen Cloud PlatformはVMware時代を終わらせるのか

tnfigcitrix.jpg VMwareへの意識を隠すことなく口にするクロスビー氏。その口調には自信が感じられる

 VMwareの「VMworld 2009」にぶつける形で発表されたこのイニシアチブは、異なるタイプの仮想マシンやクラウドサービス間における互換性の確保を目指すものである。具体的には、OVF(Open Virtualization Format)などの標準技術を利用して仮想化プラットフォーム間の相互運用性を実現し、仮想アプライアンスを企業内のプライベートクラウドと、Amazon EC2、Rackspace Cloud Server、GoGridなどのパブリッククラウドとの間で容易に移動できるようにすることが狙いとなる。

 これまで、仮想アプライアンスがなかなか普及しなかった一因は、相互に互換性のない複数の実装が存在していたからである。標準化団体である「Distributed Management Task Force(DMTF)」はOVF規格の策定に取り組んでおり、ソフトウェアの標準的な配布手段の1つとしての仮想アプライアンスは着実に歩を進めている。

 Xen Cloud Platformでは、協力関係にあるベンダーの間でプラットフォームを共通化するという基本的な合意が成立している。同イニシアチブに賛同を表明しているのは、Citrix、Hewlett-Packard(HP)、Intel、Novell、Oracleのほか、AMD、Dell、富士通、Juniper Networks、Linux Foundation、NetApp、VA Linux Systems Japanなど。VMwareが自社の「vSphere」のみを仮想化プラットフォームと見なしているのとは大きく異なり、呉越同舟でその壁を破ろうとしている。XenServerが無償化されたのもvSphereと同じ轍(てつ)を踏まないためだ。

 「互換性がないことで、仮想化分野に投資できないと判断されるのは、業界全体としていいことではない。互換性を保つことで、すべてのベンダーが利益を得ることができる」と話すのは、米Citrix Systemsのバーチャライゼーションマネージメント部門で最高技術責任者(CTO)を務めるサイモン・クロスビー氏。Xen.orgから発表された“完全な”クラウドプラットフォームが市場に登場すれば、Citrixは大きな恩恵を受けることは間違いない。

まずはすばらしいクラウドを

 クロスビー氏は、「仮想化分野に関して、エンタープライズのデータセンターではVMwareに後れを取ってしまった」と認める。そのため、別のアプローチを考える必要があったというのだ。それがクラウドである。「まずはすばらしいクラウドを作り、それを内側に取り込もうというアプローチを採っている」(クロスビー氏)。

 XCPイニシアチブは2009年第4四半期中にXen Cloud Platformの最初のリリースを提供するという方針を示している。同氏によると、Xen Cloud Platformは、仮想スイッチや拡張ストレージといった機能を備えることになるという。Xen Cloud Platformがどのような構成の下でリリースされるかはまだ不明だが、少なくとも、Citrixは必要に応じて自社の技術をオープンソースにすることをためらいはしないだろう。例えば、マルチテナントのクラウドサービスをサポートするストレージ機能として「StorageLink」技術などをオープンソースにする可能性は高い。

 「企業の仮想化をみると、バーチャルプライベートサーバーという段階にあるのが現状だが、これをバーチャルプライベートクラウドにまで進化させる。そこに、エンタープライズクラスのセキュリティ、リッチなエンタープライズクラスのサービス、ディザスタリカバリが可能になれば、エンタープライズクラスのワークロードをそこで処理できるようになる。クラウドはサーバベンダーが主導しているが、いずれはインフラベンダーが主導を握るようになるだろう」(クロスビー氏)

 Citrixがエンタープライズクラスの仮想化インフラを構築することを目的に据えているのは明白だ。しかも彼らは、サービスレイヤーではなく、プラットフォームのレイヤーに注力しようとしている。そのため、「Eucalyptus」や「OpenNebula」などのオープンソース管理ソリューションはXen Cloud Platformでは行わないという。

 「Xen.orgではそのレイヤーにかんする作業は行っていない。そうした試みは、Eucalyptus ProjectやOpenNebula.orgなどのような開発コミュニティーに任せたい」(クロスビー氏)

 Xen Cloud Platformが登場し、パッケージング化されたOVFファイルをそれぞれの仮想化環境にインポートして利用できるようになると、管理面での統合も期待される。CitrixはMicrosoftよりもHyper-Vをうまく管理できると考えているからこそ、「Essentials for Hyper-V」をリリースしたのと同じように、Essentials for VMwareを提供するつもりなのだろうか。

 「Essentials for VMwareは検討したことがある。しかし、現実的ではない。というのも、VMware側が拒否し、仕様を難しくするだろうから」(クロスビー氏)

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