独セキュリティ企業のAvira、国内市場に本格参入へ

1億以上のユーザーを抱えるドイツの老舗アンチウイルスベンダーAviraは、日本市場へ本格参入する。同社CEOが事業展開などを明らかにした。

» 2009年11月04日 07時25分 公開
[國谷武史,ITmedia]
アウアーバッハ氏

 ドイツのアンチウイルスベンダーAviraは、12月から国内のセキュリティ市場へ本格参入する。このほど来日した創業者兼CEOのチャーク・アウアーバッハ氏が事業展開などを明らかにした。

 Aviraは1988年にアンチウイルス製品をリリースした老舗ベンダーの1社。現在はUNIX系やWindows向けに製品を展開し、約1億500万の個人ユーザーと約2万社の企業ユーザーを抱える。ユーザーの半数はドイツやオーストリア、スイスなどのドイツ語圏が多いが、英語版製品も提供。日本国内では約75万のユーザーがおり、企業ユーザーには大手金融機関が含まれるという。

 製品特徴についてアウアーバッハ氏は、「マルウェア検出率の向上と動作の軽快性を重点に開発している」と話す。近年は第三者評価機関のAVcomparativesやAV-TEST.orgなどのウイルス検出テストで上位の成績を収めているという。定義ファイルの頻繁な更新やマルウェア特有の挙動を検知するヒューリティック技術など、マルウェアを可能な限り確実にブロックしていくというのが同社のアプローチである。

 国内市場ではこれまで販売代理店のプロマークを通じて製品を提供してきたが、新たに日本法人を開設する。12月1日に個人向けの無償アンチウイルス製品、メールセキュリティやパーソナルファイアウォール機能を搭載する有償の統合セキュリティ製品など4製品で日本語版をリリースし、日本代表事務所はユーザーサポートの支援などを提供する。

 アウアーバッハ氏は、「日本のユーザーはウイルス検出率などの品質を評価してくれていると聞き、1年以上前から準備してきた。今まで以上にサポート面を強化したい」と話す。

 販売体制ではプロマークを含めた販路拡大を計画。サポート面では無償版ユーザー向けに日本語によるサポートフォーラムの開設、有償版ユーザー向けの電話サポート窓口の開設など12月1日に始める。個人や企業を問わずにシェア獲得を目指すという。

 サポート強化の具体例として、無償版を利用する一部の国内ユーザーが指摘したパターンファイル配信の遅延改善などがある。なお、有償版ユーザーへの配信は無償版ユーザー向けと異なるシステムのために遅延はないとしている。

 「無償版ユーザー向けには20台の配信サーバで対応している、今後は配信サーバを30台程度に、回線を7Gbpsから10Gppsに増強したい。CDN(コンテンツ配信ネットワーク)のサービスの活用も検討している」(同氏)

 無償版ユーザーへの対応強化にはそれなりの投資が伴うが、同社では「Freemium」(FreeとPremiumの造語)という戦略を掲げており、無償版と有償版の両面でのサポート力が製品に対する信頼感や評価の醸成につながるという。

 今後の目標について同氏は、「わたしは結婚して27年になるが、日本のユーザーとも“結婚”のように長期にわたる信頼関係を築いていきたい」と話している。

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