データセンター担当者が考えるクラウド利用とデータ保護、シマンテックが調査

シマンテックは、世界のデータセンター担当者を対象に実施した意識調査の報告書「2010 State of the Data Center Study」を公表した。

» 2010年03月16日 19時02分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 シマンテックは3月16日、世界のデータセンター担当者を対象に実施した意識調査の報告書「2010 State of the Data Center Study」を公表した。日本と海外の担当者の意識の違いなどを分析した結果を伝えた。

 調査は米Symantecが調査会社Applied Researchに委託し、2009年11月に世界26カ国1780社のデータセンター管理者などへアンケートを実施した。回答者の内訳は、企業規模別では従業員数1万人以上が62%、同2000〜9999人が23%、同1000〜1999人が15%。地域別では北米563社、中年米84社、欧州・中東・アフリカ573社、アジア太平洋560社。日本の回答は150社で、すべて従業員数1万人以上の企業となっている(全体の8.4%)。

 2010年の重要な取り組みについて、日本と海外では共通して7〜8割超の回答者が「セキュリティ」「継続的なデータ保護」「バックアップおよびリカバリ」「ストレージリソースの管理」を挙げていた。また、日本では「データアーカイビング」、海外では「サーバ仮想化」も目立っている。

導入や運用意向のある技術やサービス(規模別)

 またコスト抑制のための取り組みとして、「ベンダー数の削減」や「クロスプラットフォームのサーバまたはストレージツールの統一化」を挙げる回答が、日本と海外で前年より3倍近く増加した。このほか、ITのアウトソーシング化やクラウドコンピューティングの利用に注目する意見もあった。

 クラウドコンピューティングの利用では、企業内などで運用するプライベートクラウドについて日本企業が重視している傾向が分かったという。「計画中」「実装中」の回答は海外が日本を上回ったものの、「検討中」「試験段階」の回答は日本が上回った。パブリッククラウドの利用意向では、日本は総じて海外よりも低く、「検討していない」との回答は海外を8ポイント上回っていた。

 サーバ仮想化では、世界の企業の7割が既に導入しており、特にデータベースやERP、CRM(顧客関係管理)、メッセージング、トランザクションなど、多くのアプリケーションが仮想化環境で運用される状況になっていた。仮想サーバにおけるデータ保護では、リカバリの高速化やファイル単位といったきめ細かいデータのバックアップなどを重視する回答が目立っている。

仮想化環境で稼働しているアプリケーション

 バックアップ・リカバリや、アーカイビングで注目する技術が「重複排除」であるといい、特に日本の企業ではコスト削減やデータの整合性の向上を目的に利用を検討する回答が目立った。一方、海外ではストレージ容量の増加を抑制する目的で検討するという回答が多い。

 調査結果についてプロダクトマーケティングマネジャーの朝倉英夫氏は、仮想化技術の進展に合わせてデータの安全性を確保しながら効率的に管理したいというニーズがみえると分析する。具体的には、データの保有者やアクセスおよび利用状況などの情報を把握できるようにし、また、重複排除などの技術を使ってデータセンターのリソースを効率的に使っていくものだという。

 同氏は、「特に2000〜9999人の企業は、そのほかの規模の企業よりも仮想化やクラウド、データ保護技術の導入に積極的な姿勢を見せている。日本企業も含め、これらの技術の利用を推進していくことが重要ではないか」とコメントしている。

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