矢野経済研究所がまとめた国内のレアメタル需要予測によると、198.7キロトンの需要は主に自動車産業からのもの。次世代自動車向けにネオジムやディスプロシウム、リチウムなどの需要が拡大傾向にあるという。
矢野経済研究所は6月25日、自動車産業、主要省エネルギー製品、主要電気製品の3需要分野で使用されるレアメタル(希少金属)を対象とする国内需要予測を発表した。
レアメタルとは希少な非鉄金属のことで、埋蔵量や地域的な偏在性、採掘・精錬コストの高さなどから産業界での流出量、使用量が限られるものを指す。さまざまな製品の製造においてこれらのレアメタルは存在価値を増しており、レアメタルのサプライチェーンをどう安定的に確保するかが製造業の課題の1つとなっている。
レポートによると、2009年の国内レアメタル需要量は198.7キロトン。需要分野別では、約9割(88.4%)を自動車産業が占めており、主要省エネルギー製品と主要電気製品は、それぞれ8.7%、2.9%となっている。
自動車産業でのレアメタル需要は主に合金添加用。中でも普通鋼、特殊鋼で必要不可欠なクロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)のウェイトが大きい。一方、次世代自動車向けではネオジム(Nd)やディスプロシウム(Dy)、リチウム(Li)などの需要が拡大傾向にある。
主要電気製品では、コンデンサを中心にニッケル(Ni)の需要が拡大する一方で、タッチパネルや電子書籍端末の立ち上がりとともに透明電極材料であるインジウム(In)の需要が拡大する可能性が高いとしている。
2009年時点では、Cr、Mn、Ni、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)の5鉱種が約9割の需要量を占めているが、今後は多くの鉱種で需要が増加するとし、上述したNd、Dy、Li、Inのほか、タングステン(W)、バナジウム(V)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの伸びが大きく、安定確保に向けての取り組みが重要であると提言している。
同社はレポートの中で、レアメタルの需要量は2020年に現在の約1.5倍となる295.4キロトンに拡大すると予測している。
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