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» 2010年09月27日 07時35分 UPDATE

Weekly Memo:大塚商会とEMCの共同企画製品に見るITのPB戦略

大塚商会とEMCジャパンがこのほど、共同で企画した新製品を発表した。その提供形態には、ITのプライベートブランド(PB)戦略ともいえるアプローチが見て取れる。

[松岡功,ITmedia]

ファイルサーバパッケージを共同企画

 大塚商会とEMCジャパンが9月16日、共同で企画したファイルサーバパッケージ「TWIN NAS 6TBパック」を発売した。

 EMC製のネットワークストレージによって6TB(テラバイト)級のデータを確実にバックアップするとともに、サーバ、ディスク、電源の二重化や障害時における予備サーバへの自動切り替えなどの高性能な仕様により、安全かつ安心して業務を継続できるようにするのが製品企画の狙いだ。

 パッケージの内容は、レプリケーション機能やスナップショット機能を備えたEMCのネットワークストレージ「Celerra NX4」に、設置作業、設定導入作業、ファイルシステム作成などのサービスをセットにしたものだ。6TBのユーザー使用可能領域と同じく6TBのレプリケーション領域が確保されている。

 その特長は、ディスクを管理するサーバ(NASヘッド)を2台搭載したことにより、稼働しているサーバに障害が発生した場合でも、予備サーバへ自動的に切り替わり、運用を継続できることにある。

 また、1日分の更新データを毎日夜間に高速バックアップするとともに、物理的なディスク障害を考慮し、データの変更部分のみを60分ごとに複製し保持することで、データ消失の危険性を低減。加えてRAID6のディスク構成により、二重障害が起きてもデータを保護し、かつバックアップデータからの復旧も可能としており、堅牢なデータ保持を実現できるとしている。

 さらに、専任のシステム管理者がいない企業などでも利用できるよう、大塚商会独自の保守運用サービス「たよれーる」で専用メニューを用意。同サービスを契約することで、障害対応や運用管理サポートが受けられるという。

 大塚商会ではこの新製品を、大容量ファイルサーバの業務継続ソリューションである「TWIN NASファミリ」の大容量パッケージとして一括で提供。業務を止めず、設計画面やデザイン画面などの大きなサイズのデータを確実に保持することを主な用途として位置付けており、企業、学校、官公庁などへ売り込んでいく構えだ。

一考の価値があるITのPB戦略

 この新製品がユニークなのは、大塚商会とEMCジャパンが共同で企画したファイルサーバパッケージを、大塚商会が「TWIN NAS」という独自のブランドで一括して提供している点だ。これはまさに、小売業のプライベートブランド(PB)戦略ともいえるアプローチである。

 PBとは、ある規模以上のチェーンストアなどが、販売力を背景にメーカーと共同で商品開発・企画を行い、ストア自身のブランド名をつけて販売する商品のことで、小売業界では今や2兆円規模の市場に膨らんでいる。商品としては、食品、日用品、衣類、家電製品などに多く見られるが、IT分野で販売会社が前面に出てこうした展開を行うケースは珍しい。

 大塚商会ではこのTWIN NASファミリを、およそ2年前から展開してきた。最初に発売した1TBパックではアイ・オー・データ機器、その後2TBパックではNEC、3TBパックではEMCのストレージを採用し、それぞれにハードウェア、ソフトウェア、サービスをバランスよくチューニングしてパッケージに仕立ててきた。そして今回の6TBパックが、ファミリでは最上位の製品となる。

 こうしたパッケージ製品を提供している理由について大塚商会は、「お客さまに最も近い当社が、そのニーズをきめ細かくお聞きし、最適な商材を組み合わせて自社のソリューションとして提供するのが、お客さまのためになると判断した」(同社広報)からだという。

 この考え方は、多くのITベンダーが展開している用途別ソリューションも共通しているだろうが、一般的なソリューション名にとどまらず、ブランドを強く押し出しているところに大塚商会の強いこだわりを感じる。

 ITのPB戦略ともいえるこうした販売展開は、販売力とシステムインテグレーション力を併せ持つ大塚商会だからできるという見方もあるだろう。だが、IT業界で長らく販売会社といわれてきたベンダーが今後生き残っていくためには、いわゆるサービスプロバイダーに転身していかねばならない。

 PBのような販売展開は、サービスプロバイダーにとっても自らの存在感を高める決め手の1つになるはずだ。さらに今回の新製品のようなパッケージから、クラウドコンピューティングをも見据えたアウトソーシングサービスへと移行していくうえでも、自社のソリューションブランドが広く認知されるようになれば、競合に対して優位性を発揮することができるだろう。今回の大塚商会のアプローチを見て、ITのPB戦略も一考の価値があるのではないかと感じた。

プロフィール 松岡功(まつおか・いさお)

松岡功

ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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