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» 2010年12月09日 09時24分 UPDATE

Dreamforce 2010 report:「期待を裏切らない男」ベニオフ氏 転向ユーザーに悪の帝国からの帰還を促す

salesforce.comのCEO、ベニオフ氏には悩みが多い。彼の言葉を信じれば「古い連中がジャマをするから」だ。だが言葉の深刻さとは裏腹に、事情を説明する彼の姿が楽しげに見えるのは、記者の思い込みゆえだろうか……。なおDreamforce2010開催2日目のセッションではRubyのプラットフォーム「Heroku」の買収や、新しくサービスに加わる「RemedyForce」についても説明された。

[石森将文,ITmedia]

 米salesforce.comの年次カンファレンス「Dreamforce」の開催2日目となる12月8日(現地時間)、午前中のゼネラルセッションに登場したのは、聴衆(というよりsalesforce.comのフォロワーと表現すべきか)の期待を裏切らない男、同社CEOのマーク・ベニオフ氏であった。

 冒頭から「せっかく皆さんが(Dreamforceに)集まってくれているのに、われわれのジャマをする勢力がある」と切り出すベニオフ氏。「われわれは新しい業界を築こうとしているのに、古い業界に所属するある企業が、いたずらに恐怖心や不安を煽っている」

 「その企業――Microsoftという会社は、Windowsというイマイチなソフトウェアを作り、ただのマイナーアップデートかと思ってOSを更新したユーザーにカネを請求するようなビジネスを通じて、これまで“悪の帝国”といえるような支配をしてきた」とベニオフ氏。

 2010年の春から秋にかけて、米Microsoftがsalesforce.comを提訴し、それに対抗する形でsalesforce.comがMicrosoftを反訴その後和解するという動きがあった。一連の係争についてベニオフ氏は「今年、Microsoftが訴訟を起こしてきた。驚くべきことだ。われわれは勝つために戦わねばならず、そして勝った」とコメント。

 「だが彼らは懲りずに、われわれの妨害をしている」とベニオフ氏は憤慨してみせる。「なんということか、この会場で、ソフトウェアは素晴らしい、ソフトウェアこそがすべてだというメッセージを発信しているのだ」

segway.jpg セグウェイを操りDreamforceの会場周辺でDynamics CRMのプロモーションをするMicrosoftスタッフ。記者も前日、会場入り口でDynamicsのチラシを手渡され、少し面食らった

 Economist誌に掲載されたMicrosoftの広告を紹介するベニオフ氏。そこには「I DIDN'T GET FORCED.」というsalesforce.comへの対抗メッセージが掲載され、salesforce.comユーザーだったがMicrosoft Dynamics CRMに乗り換えたというユーザーが紹介されている。

 「このような事態は避けられない。だがユーザーを失ってしまったら、われわれは取り戻さなければならない!」とベニオフ氏は聴衆を煽る。「これはジョークではない」と言いつつベニオフ氏がステージに招いたのは、Microsoftの広告に(転向)ユーザーとして登場していたバーナード氏、その人であった。

 強気な調子から一転して、バーナード氏にわびを入れるベニオフ氏。「手間も時間も、お金も掛かる。あなたには、そんな古い“ソフトウェア”に縛られて欲しくないんだ」と口説きに掛かる。

 「悪の帝国から帰ってきてくれませんか」というベニオフ氏に、バーナード氏は「イエス!」の答え。2人はハイタッチを交わし、少なくともsalesforce.comにとっては、ハッピーエンドということになった。「いやあ、営業というのは疲れるものだね。でもMicrosoftとケンカするなら、努力が必要だ」

beniof.jpg 楽しげにハイタッチを交わす2人。ゼネラルセッション終了後、念のためsalesforce.comのVice Presidentに“出来レース”でないかどうかを確認したところ「そんなことはない。“Sure Story”だよ」とのこと

Cloud 2をけん引する2つのサプライズ

 前日の基調講演で、Cloud 1からCoud 2への移行を表明したベニオフ氏。「歩みを止めてはいけない。昨日話した通り、クラウドは日々進化している。少し前までAmazon.com、Google、eBayがクラウドの主要プレイヤーだったのに、今やFacebook、Twitter、YouTubeがその座を担っている」

 「世界がCloud 2に移行する中で、われわれは顧客に何を提供すべきかを考えた」とベニオフ氏。「プラットフォームをどうオープンに、スケーラブルにしていくか? Javaもいいけど、開発言語はほかにもある。オープン化が使命でもあるforce.comに足りないもの……。それはRuby on Railsだ」

 前日の基調講演で実施されたDatabase.comのデモは、実はRubyで書かれたものであったという。ベニオフ氏は「Rubyには、400万人にのぼるスペシャリストがいる。Rubyこそ、クラウドネイティブな開発言語だ」と話す。

 迅速にRubyをポートフォリオに加えるため、ベニオフ氏が選択したのは、Ruby on RailsのPaaSを手がける「Heroku」の買収であった。実際、既にHerokuには、Rubyで開発された10万5000を超えるアプリケーションがホストされている。例えば米Best BuyもHerokuユーザーの1社だ。「HerokuがForce.comに加わることで、Rubyのデベロッパーが企業ユーザーにアプローチする商流ができる。Cloud 2のキラーサービスといえる」(ベニオフ氏)

 もう1つの意外な発表が、米BMC Softwareとの提携である。具体的には、同社のITSM製品「BMC Remedy Service Management」をForce.comにホストし、「RemedyForce」として提供開始する。

 登壇したBMC SoftwareのCEO、ボブ・ビーチャム氏は「ITSMの市場は、現段階でも(米国で)150億ドル規模に上る。これまでは中小企業に対しリーチできていなかったが、RemedyForceは中小企業でも迅速に、そして簡単に導入できる。Force.comをプラットフォームとするため、モバイルデバイスへの対応も可能だ。例えばChatterのような、ほかのクラウドサービスと組み合わせることで、ナレッジの共有もできる。市場も、世界も広がるだろう」と話す。

 2日間にわたる発表を通じ、新たなサービスを取り込んだForce.comをベニオフ氏は「Force.com 2」と表現する。「Force.com 2は、レガシーから大きな進化を遂げたプラットフォーム。レガシーを引きずったLotusやSharePoint、そして.NETなどはクラウドではない。われわれのサービスはすべて、クラウドネイティブなテクノロジーで開発されている」(ベニオフ氏)

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