Rackspace、管理型クラウドプラットフォーム「Cloud Servers」を発表

「Cloud Servers」は、クラウドに関する知識を持たない一般企業を対象とした、24時間体制のサポート付きのクラウドサービスだ。

» 2010年12月16日 15時42分 公開
[Nathan Eddy,eWEEK]
eWEEK

 ホスティングとクラウドコンピューティングを専門とする米Rackspace Hostingは、管理型クラウド製品「Cloud Servers」を発表した。このサービスでは、プロアクティブ(事前予測型)モニタリング機能を備えたマネージドサービスレベルのほか、トラブルシューティングやクラウドコンピューティング活用ガイダンスなどが用意される。Rackspaceでは自社の「Fanatical Support」を拡張し、毎日24時間のマネージドサービスレベルをスケーラブルなオンデマンド型のCloud Servers製品と組み合わせるという。

 同社によると、柔軟性、拡張性、オンデマンドに対応した可用性を備えたクラウド環境への移行を望みながらも、クラウドに関する技術知識を持ち合わせていない企業にとって、Cloud Serversは理想的なサービスだという。「Rackspace Cloud」で既に提供されている毎日24時間のコアサービスレベルに加え、Cloud Serversでは専任のチームがシステム運用サポートとアプリケーションレベルのサポートならびにクラウド活用方法に関するガイダンスを提供する。Rackspaceの発表資料によると、数十社の企業が同社のβプログラムに参加したとしている。

 トライアスロン主催企業の米World Triathlonも、Rackspace Cloudのβユーザーだ。同社のトラビス・シッツラーCTO(最高技術責任者)によると、同社ではトライアスロンの宣伝、参加アスリートの登録、ライブイベントの放送などの業務を管理しているが、ビジネスニーズは1年を通じて大きく変化するという。「マネージドクラウドはわれわれにとって理想的だ。レース期間中はトラフィックがピークになるが、イベントが少ない時期はトラフィックの需要が大幅に減少するからだ」と同氏は説明する。「当社の場合、年間を通じて規模を拡大・縮小できるクラウド環境が最適だ。Rackspaceのサポートがなければ、われわれはこういったことはできない。このマネージドサービスは当社に不可欠だ。Rackspaceがクラウド環境の有効な活用方法に関する専門的なアドバイスを提供してくれるだけでなく、さまざまな問題を未然に解決できるようにしてくれるので、われわれはトライアスロンイベントを成功させることに専念できる」

 Rackspaceのマネージドクラウドでは、業界標準のSLA(サービス品質保証)に基づく一連のサービスが用意される。その1つが、24時間体制での監視アラートへの迅速な対応で、アラートが発生すると顧客およびRackspaceのサポートチームに通知される。顧客が希望すれば、Rackspaceが事前に問題解決に当たるようにすることもできる。OSとアプリケーションのインフラのサポートには、アップデートやパッチの適用も含まれる。サポート対象のOSは、Microsoft Windows Server 2008 R2 Enterprise 64-bit、Ubuntu 10.4(Lucid Lynx)、Red Hat Enterprise Linux 5.4、CentOS 5.5で、サポートされるアプリケーションは、Apache、MySQL、PHP、.NET/IIS、Microsoft SQL Server Standard Edition 2008 R2となっている。

 そのほかにも、将来の拡張に向けた計画の策定や現在のクラウド環境の有効活用などについて顧客にアドバイスする技術ガイダンスや、顧客が完全なコントロールを常に維持することが可能なCloud Serversへの管理者レベルアクセスなどが用意されている。RackspaceもCloud Serversにアクセスできる状態を維持する。これは同社のサポートチームがリアルタイムで問題を特定、解決できるようにするためだ。さらに、顧客企業は電話、チャット、電子メールを通じてRackspaceのサポートチームに連絡し、サービスチケットでサポートを受けることができる。Rackspaceはアラートに基づいて問題解決に取り組むだけでなく、付属の管理ツールを使って自社独自の問題を解決しようとする顧客のサポートも行うという。さらに同社では、ネットワークとハードウェアの稼働率も保証するとしている。

 Rackspaceのクラウド部門上級副社長、パット・マシューズ氏は「われわれが10年前にマネージドホスティングという分野を切り開いたように、今度はマネージドクラウドをホスティングの新たなカテゴリーとして定義するつもりだ」と述べている。「クラウドの創生期は開発者や先行導入企業が主役だったが、今日では一般の企業がこの素晴らしい技術を利用したがっており、Rackspaceはそれを可能にしようとしているのだ。多くの企業が、クラウドコンピューティングを自社のビジネスに活用するのに必要な支援と専門知識を求めている。われわれは顧客の声に耳を傾け、比類なきクラウドサービスを提供している。企業はこのサービスを利用することにより、自社が最も得意とするコアビジネスに専念できる。それ以外のことはRackspaceに任せてもらえばいい」

企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ