勝ち残れ! 中堅・中小企業

ワインの好みもDB管理?――名門ゴルフ場のIT活用に至高のホスピタリティを見た江口ともみのIT活用ビフォーアフター(2/2 ページ)

» 2011年02月03日 09時00分 公開
[聞き手:江口ともみ、構成:編集部,ITmedia]
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IT活用によるサービス品質こそが差別化につながる

遠藤 先ほども話したとおり、価格破壊が進む現在、ゴルフも土日のラウンドが“ディナー”だとしたら平日は“ランチ”。でもわれわれは、(平日の価格は下げても)サービスの質はまったく変えていません。

 ゴルフ場は、一度作ってしまうと、つぶすのにコストがかかる。だから経営破たんしたゴルフ場も、経営主体が変わって継続することが多い。ここにゴルフ場経営の特殊性があります。淘汰が進みにくいので、需給バランスが保たれにくいのです。

 つまり、単純な安値競争を仕掛けても意味がありません。われわれは営業をしませんし、会員権の相場も公表していません。

岩瀬 毎年、富士通レディースの放映後は申し込みの電話がすごいのですが……「メンバーの紹介が必要です」と伝えるしかなく、怒られてしまうくらいです。

向かって左が、東急セブンハンドレッドクラブの営業総務 支配人、岩瀬廣美氏

IT活用ポイント

ゴルフ場は、外資との価格競争が激しくなっているが、東急セブンハンドレッドクラブはそこから一線を画しているという。優れたスタッフ一人ひとりの接客が大切であり、ITは気持良くプレーしてもらうためのサポート役だと遠藤氏は話す。


江口 それだけ、“サービスの質”にこだわりたいということなのですね。ちょっといじわるな質問をします。これだけのサービスを提供しても、メンバーから何かを言われてしまうことはありますか?

遠藤 そのようなことがないよう、運営しています(笑)。実際、「接待ならセブンハンドレッド」という評価を大切にしたいですし、今でもメンバーからの紹介で、年に10社ほどの新規法人会員が入会します。メンバーの信頼は裏切りません。そういえば以前は、ビートたけしさんもよく来ていました。

江口 一時期は「ゴルフは飽きた」なんて言っていましたが、最近はまた、鬼のようにプレーしているようですよ(笑)。


 名門ゴルフクラブとはいえ、従業員規模は中堅・中小企業といえる。当然、情報システムの専門家を抱えるわけにはいかず、ITを活用したいが知識がないというジレンマが、中堅・中小企業に共通する課題である。

 このような現状では、“ビジネスをマネージする人間がSIerを自社の情シス部門のように使い、IT活用につなげる”という遠藤氏のような取り組みが、IT導入に悩む中堅・中小企業のヒントになるだろう。

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