マーケティングの出発点は、バリュープロポジションバリュープロポジション戦略 50の作法

私たちのバリュープロポジションは何か? これを明確に、関係者全員が答えられることが、成功するマーケティング戦略の条件である。

» 2011年04月20日 11時30分 公開
[永井孝尚,ITmedia]

連載「バリュープロポジション戦略 50の作法」について

 本当の顧客中心主義満足とは何か?――。連載「バリュープロポジション戦略 50の作法」は、欧米発のバリュープロポジションというフレームワークをベースに、日本が昔から持っていた顧客本位の考え方を見直し、マーケティング戦略を構築・推進するための50の作法をまとめた書籍『バリュープロポジション戦略 50の作法』の一部を加筆・修正し、許可を得て掲載しています。


 バリュープロポジションを絵に描くと、以下のようになります。

 ポイントは3つです。

  • ターゲット顧客を絞り込んだ上で、
  • 顧客が望む価値を理解し、かつ、
  • 競合他社がまねできない自社の価値を提供できること

 成功しているビジネスは、このバリュープロポジションが明確です。明確なバリュープロポジションは徹底的に考え抜かれていますし、価値を作り、顧客に伝え、価値を届ける社内外の関係者全員に理解され、共有されています。

 例えば、引退したシニアな富裕層に対する、街の電器屋さんのバリュープロポジションを、家電量販店と比較すると、次のようになります。

販売形態とユーザー それぞれの価値と望むもの
家電量販店の価値 広い商域、大量廉価販売
引退したシニアな富裕層が望むこと 複雑なデジタル家電を使用する際の場合のアフターサービス、適切な価格、利便性
街の電器屋さんの価値 地域密着、デジタル家電ライフを支援できる手厚いサポート力

 実際、家電量販店よりも高価でも、地域に密着して高収益を上げている街の電器屋さんが多いのです。

 バリュープロポジションは、そのままコミュニケーション戦略やチャネル戦略に展開することができます。対象顧客や訴求ポイントを絞り込んで定義しているからです。例えばコミュニケーション戦略では、シニア富裕層に手厚いサービスを訴求するメッセージを展開する、といったように戦略を展開していきます。

 バリュープロポジションを起点に考えると、骨太な戦略が実現できるのです。

※本書に掲載された内容は筆者である永井孝尚個人の見解であり、必ずしも筆者の勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。

バリュープロポジション戦略 50の作法

バリュープロポジション戦略 50の作法

バリュープロポジション戦略 50の作法

著:永井孝尚

オルタナティブ出版

2011年3月30日

1260円(税込み)

マーケティング戦略を構築・推進するための50の作法を、バリュープロポジションという切り口で、さまざまなマーケティング理論を網羅しつつ、日本の事例を中心にまとめた、マーケティング担当者必読の書。


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