2010年にEMCがIsilonを買収したことを受けて、両社の日本法人が今後の事業展開や新製品を発表した。
EMCジャパンとアイシロン・システムズは4月20日、今後のストレージ製品の販売体制とアイシロンの新製品についてそれぞれ発表した。米EMCが2010年に米Isilon Systemsを買収したことを受け、国内ではアイシロンが7月1日付でEMCジャパンの「アイシロン事業本部」として統合されることが正式決定した。
今回の事業統合についてEMCジャパンの山野修社長は、一般企業で取り扱われる非構造化データ(文書や画像、映像など)が爆発的に増加しており、従来型のNASに代わる対応として、アイシロンが強みとしている「スケールアウトNAS」が有望だと説明した。
アイシロンのスケールアウトNASは、複数のストレージを単一のファイルシステムとして利用するもので、容量を柔軟に追加できるほか、運用管理を簡素化できるなどの特徴がある。同社の江尾浩昌代表取締約によれば、これまでの主要顧客はメディア企業やオンラインサービス、資源や医療などの研究機関だったが、近年は製品特徴が注目され、一般企業からの引き合いが増加しているという。
こうした状況を踏まえ、事業統合後は両社のパートナー企業と共同で、EMCの顧客企業に対するアイシロン製品の販売・サポートの展開を強化する予定。アイシロンによる販売・サポートは従来通り継続する。
EMCは、ストレージ製品の主要ライアンアップとして拡張性と特徴とするハイエンド向けの「Symmetrix」やミッドエンドおよびローエンド向けの「VNX」シリーズ、Webシステム向けの「Atoms」を展開してきたが、アイシロン製品はハイエンドからミッドレンジ向けのスケールアウトNASというカテゴリーに位置付ける。
山野氏は、「ビッグデータ時代における最適解の1つとして、スケールアウトNASを顧客企業に広く訴求していきたい」と述べた。
またアイシロンは、ストレージ新製品として「Isilon S200」「同X200」と最新版ソフトウェアの「OneFS 6.5」「SyncIQ 3.0」を併せて発表した。
Isilon S200は、最大140万IOPSと最大40Gbpsの性能を持つハイエンドモデルで、ドライブの2.5型SASもしくはSSDを利用できる。同X200はハイエンドモデルの拡張性やパフォーマンスを継承したミッドレンジ向け製品。価格はX200が446万円から(税別、最小構成の場合)となっている。
ストレージOSのOneFS 6.5ではCIFSのネイティブサポートやSSDでの階層管理、認証機能の強化などが図られている。SyncIQ 3.0ではスナップショットツ―ルの機能を完全統合し、必要なデータ部分と特定してのレプリケーションが可能になるなど、使い勝手を高めている。
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