世界の海賊版ソフトによる被害額、過去最高の590億ドルに――BSA調査

日本での違法コピー率は20%で、米国およびルクセンブルクと並んで最も低かった。

» 2011年05月13日 12時16分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 業界団体の米Business Software Alliance(BSA)が5月12日(現地時間)に発表した2010年の統計によると、世界でのソフトウェアの違法コピーによる被害額は過去最高の590億ドルに上った。これは前年比14%増、2003年の2倍に相当するという。

 海賊版ソフトがソフトウェア全体に占める割合は42%で、BSAが調査を開始した8年前以来最高だった2009年の43%よりは1ポイント少なかった。

 BSAは海賊版増加の原因として、新興市場におけるPC販売の拡大を挙げている。2010年に出荷されたPCの半数は新興国市場向けだったが、同市場が世界全体の有料ソフトウェアライセンス売り上げに占める割合は20%以下だった。

 国別で最も海賊版の比率が高かったのはグルジアで、ソフトウェアの93%が違法コピーされたものだった。2位はジンバブエの91%、90%のイエメン、バングラデシュ、モルドバがそれに続く。中国は前年より1ポイント減の78%、インドも1ポイント減の64%だった。

 日本は前年比1ポイント減の20%で、米国とルクセンブルクと並んで最も違法コピー率の低い国になった。

 米国での違法コピー率は少ないが、被害額ではトップで95億2000万ドル。中国が2位で77億8000万ドル、3位はロシアで28億4000万ドルだった。日本の被害額は16億2000万ドル。

 違法コピーの方法で最も多いのは、正規に購入したライセンスを複数のPCにインストールするというものだ。コンシューマーの60%、企業の47%が、この行為を違法ではないと誤解しているという。

 BSAのロバート・ハリマン会長兼CEOは「皮肉なことに、多くの人々は知的財産権を尊重しているが、違法だと知らずにソフトウェアを入手している」と指摘する。「ソフトウェアの違法コピーはIT業界だけでなく、あらゆる企業にとって火急の問題だ。知的財産権を守っている企業は、違法コピーでコストを削減している企業との不当な競争を強いられている」

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