国内ICT市場予測、2011年は1.2%減 2012年は回復の見込み

ガートナー ジャパンによれば、2011年の国内ICT市場規模は東日本大震災の影響により、1.2%減の28兆9800億円になる見込みという。

» 2011年07月11日 13時54分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ガートナー ジャパンは7月11日、国内ICT市場規模予測を発表した。2011年は東日本大震災の影響により1.2%減の29兆9800億円が見込まれるが、2012年は1.2%増の29兆3350億円と回復が予想されるとしている。

 企業での2011年度のIT予算額の増減傾向は、震災前に比べて予算額を減少させたと答えた企業が8%未満であり、90%が変更なしと答えた。変更なしの理由について、リサーチ ディレクターの片山博之氏は、多くの企業が震災前に予算額がほぼ決定し、計画停電を含む震災によってビジネスに直接の大きなダメージを受けた企業以外は予算額を変更しなかったためと分析している。

 また優先順位の高いITプロジェクトの上位3つについて、震災後に内容を変更した企業は3割を超えた。主にアプリケーションの投資プロジェクトを減らして、事業継続管理関連の投資プロジェクトを増やす傾向がみられる。特に従業員数2000人以上の企業では、事業継続管理/災害復旧計画を見直す企業が44%、新規導入する企業が24%に上った。しかし片山氏は、この特需は一過性のもので、2012年以降は新規需要が小さくなるだろうと予測する。

 クラウドコンピューティングでは、震災後にプロジェクト件数の増加傾向が見られ、企業の予算額における比率(平均値)は2010年度の1.4%から、2011年は1.7%へと増加する見込み。内訳では2010年はSaaSが8割以上を占めたが、2011年はPaaSやIaaSへの予算が増える傾向が現れているという。

 消費者の支出額(PCや携帯電話関連)は、主に被災地域以外では買い控えは見られないものの、スマートフォン以外の携帯電話セグメントは飽和状態にあり、携帯電話市場全体では微減が見込まれるという。PCにおける震災の影響は軽微だった。2012年はスマートフォンについて個人と企業の両方でのニーズが高まり、テレコム全体で1.7%増の成長が予想されるとしている。

日本におけるICT市場規模予測(出典:ガートナー)
2011年市場規模 2011年伸び率(%) 2012年市場規模(百万円) 2012年伸び率(%)
ハードウェア 2,605,457 -5.1 2,606,064 0.0
ソフトウェア 1,579,356 0.9 1,628,587 3.1
ITサービス 9,630,076 -2.1 9,681,159 0.5
テレコム 15,165,326 -0.2 15,419,112 1.7
ICT市場規模合計 28,980,215 -1.2 29,334,921 1.2

変更履歴……発表数字に誤りがございましたので、修正いたしました。(2011/7/11)

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