SMSを利用したマーケティングサービス、年内に提供開始へ

AOSテクノロジーズは米3Cinteractiveを協業し、携帯電話のショートメッセージを利用したマーケティング支援サービスを開始する。通信事業者を跨いだ配信が可能という。

» 2011年09月27日 19時38分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 AOSテクノロジーズは9月27日、米3Cinteractiveと協業して携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を利用したマーケティング支援サービスを年内に開始すると発表した。通信事業者を跨いだ配信が可能という。

 SMSは携帯電話番号だけで短文メッセージをやり取りできるサービス。国内ではこれまで同一の通信事業者の加入者同士でしかやり取りできなかったが、7月13日から異なる通信事業者の加入者ともやり取りできるようになった。

 3Cinteractiveは、2005年に創業し、企業向けにSMSを利用したマーケティング支援サービスを手掛ける。現在ではThe Walt Disneyやスポーツ専門放送局のESPNなど約120社が利用。ユーザー企業はSMSを通じて、顧客にさまざまな情報を配信したり、双方向性の高いサービスを展開したりしている。

店頭商品の情報を配信したイメージ。商品に記されたコードを入力して企業のサービス用電話番号にSMSを送信するとすぐに返信される。マーケティング以外にも学校や企業の一斉連絡手段としても活用できる

 AOSテクノロジーズの佐々木隆仁代表は、「国内でもようやく企業がSMSで顧客に直接メッセージを届けることができるようになる」と語った。

 3Cinteractiveのヴィック・シュロフ バイスプレジデントはユーザー事例を紹介。例えば、The Walt DisneyではSMS配信を登録した来園者に対し、アトラクションの待ち時間やイベントの開催、店舗のキャンペーンといった情報を配信している。ESPNでは視聴者から試合の予想をSMSで募り、番組に反映するといった取り組みをしている。

 同氏によれば、米国では2003年時点で1日当たり1400万通のSMSが送信されたが、異なる通信事業者間で配信が可能になった2005年には100億通に急増し、現在では1870億通という規模になった。SMSは個人同士だけでなく、企業と個人との間でも日常的なコミュニケーションツールになったという。

 一方、国内では長らく異なる通信事業者への配信ができなかったことに加え、出会い系サイト代表される迷惑メール問題からSMSの大量送信が規制されるなど、SMSの利用シーンが限られていた。

 佐々木氏によれば、新サービスではこうした課題を考慮して携帯電話事業者各社との連携を進め、加入者が企業と安心してやり取りできる環境を準備しているという。Eメールを利用した同様の手段も多数存在するが、携帯電話番号だけでやり取りできる手軽さやメッセージの到達性などの点で、Eメールよりもリアルタイム性や双方向性の高いマーケティングが可能になるとしている。

サービスではアンケートの設定など、企業が顧客とやりとりする方法を直観的な操作で設計できるという

 サービスは携帯電話事業者各社との調整を経て年末までに開始する予定。また、ユーザー企業と顧客間で交わされる情報に関するセキュリティ対策についても、堅牢な仕組みやルール策定の支援など手掛ける考え。

 利用料金も検討中だが、3Cinteractiveが米国で提供しているモデルでは初期費用2000ドルのほか、キャンペーンの実施回数やSMSの送信通数などに応じた月額費用、通信事業者への利用費が発生する。月額費用は平均で200万円前後だという。

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