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» 2011年10月03日 07時55分 UPDATE

Weekly Memo:NECが語る「グローバルな合従連衡」の可能性

グローバルな合従連衡が進むIT業界で、国産ITメーカー大手はこれからどう動くのか。NECのプラットフォーム事業責任者に先週、単刀直入に聞いてみた。

[松岡功,ITmedia]

HPとタッグチーム結成の可能性は?

 本連載コラムではこれまで幾度か、企業向けIT事業分野における大手ベンダー同士の「グローバルな合従連衡」への期待ということで、私見ながら1つの仮説を述べてきた。

 企業向けIT事業分野で、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを総合的に提供できるグローバルなメジャープレーヤーといえば、米国のIBM、HP、そしてSun Microsystemsを買収したOracleなどに絞られる。国産大手の富士通、NEC、日立製作所もこの一角に名を連ねたいところだ。

 そこで立てた仮説とは、とくにミッションクリティカルなサーバ分野で長年の戦略的協業関係を築いてきた、Oracleと富士通、HPとNEC、IBMと日立製作所が、それぞれさらにパートナーシップを深めて、この分野におけるグローバルな3大勢力を形成するというものだ。

 いずれの組み合わせとも互いに競合する分野はあるが、総じて米国勢にとっては日本勢の製品開発力や高品質、ITサービス力を魅力に感じているはずだ。一方、日本勢にとってはそれぞれのパートナーのグローバルブランドを生かしたボリュームビジネスを展開できることに大きなメリットがある。

 折を見て、各社のキーマンにこの仮説の可能性を問うてみたいと思っていたところ、先週、NECのプラットフォーム事業を統括する山元正人執行役員常務に話をうかがう機会を得たので単刀直入に聞いてみた。

 以下、その核心部分を一問一答で記しておく。

―― 今後、サーバやクラウド事業をグローバルに拡大していくためには、IBMやHPのようなグローバルなメジャープレーヤーとタッグチームを組むことも必要ではないか。

山元 もちろん、必要があれば国内外を問わずさまざまなベンダーと協業していく用意はあるし、実際に多くの協業が進んでいる。ただ、名前が挙がったような企業とタッグチームを組むような関係になることはないだろう。

―― グローバルなメジャープレーヤーの仲間入りをするためには、タッグチームを組むくらいダイナミックに動くべきではないか。

山元 タッグチームを組むかどうかは別にして、協業の話は数多く進んでいる。例えば、長年にわたって協業関係にあるHPとは、お互いの技術や製品を生かすべく、定期的に話をしている。

―― HPとの関係が一層深まる可能性はあるか。

山元 緊密な協業パートナーであることに変わりはないが、先のことについては何とも言いようがない。

新技術を発端とした合従連衡の可能性も

 質問に具体性が乏しかったこともあって、少々禅問答のようになってしまったが、どうやら仮説に掲げたHPとNECの協業関係がタッグチームに発展する可能性は、今のところ小さいようだ。だが、仮説はしばらく取り下げないでおきたい。

 一方、山元常務はこうしたやりとりの後、「グローバルな合従連衡でいえば、今もっとも仲間づくりに力を入れている新しい領域がある」と身を乗り出した。その領域とは、ネットワーク制御技術の「OpenFlow」である。

 山元常務の肝いりでもあるので、少々解説しておくと、OpenFlowではネットワーク経路などを制御する部分をコントローラに集約し、スイッチから分離するというアーキテクチャを採用している。

 これによって、コントローラをPCサーバで稼働させることが可能になるとともに、スイッチにこれまでのようなコントロール用の高価なプロセッサを搭載する必要がなくなるので、通信機器の低価格化などが図れるようになる。また、通信機器のさまざまな機能やネットワークそのものをソフトウェアで制御することが容易になり、柔軟なネットワーク構成が実現できるようになる。

 OpenFlowは米スタンフォード大学が中心となって提唱され、NECが世界で初めて製品化した技術である。アーキテクチャとしてスイッチ主導ではなくなることから、業界では「Cisco外し」とも言われている。さらに柔軟なネットワーク構成が実現できることから、データセンター間のやりとりも非常に簡単になるので、クラウド時代には打ってつけの技術とされている。

 ただ、コントローラをベースにしたソフトウェアはさまざまなものが必要となり、NECだけではカバーできない。そこで山元常務が言うように、仲間づくりが急がれているわけだ。

 さらにOpenFlowが普及すれば、NECにとってはコントローラとしてPCサーバを売り込めるようになるのも魅力だ。つまり、PCサーバ事業にとっても非常に有望な潜在市場なのだ。

 山元常務によると、仲間づくりについては「あまり大きな声では言えないが、ビッグネームも名を連ねている」と確かな手応えを感じているようだ。同氏の話を聞いて、グローバルな合従連衡の新たな動きは、ベンダー同士のパワーゲームだけではなく、こうした新たな技術がきっかけになるかもしれないと感じた。

matsuoka1003.jpg NECの山元正人執行役員常務

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