IT部門の“責任”がユーザーにシフトする――ガートナーが示す2012年の展望

ITのコンシューマー化やクラウドの流行は、IT部門が従来管理していた責任や予算をユーザー側にシフトさせ、IT部門がこれに適応できなければ時代に取り残されてしまうという。

» 2011年12月14日 16時06分 公開
[ITmedia]

 ガートナー ジャパンは12月14日、2012年以降に企業のIT部門やユーザーに影響を与える予測や展望を取りまとめたレポート「Gartner Predicts 2012」を発表した。ITのコンシューマー化やクラウドの流行は、IT予算や責任がIT部門の管理下から外部にシフトしてことを示すものだとしている。

 同社が発表した2012年の展望は以下の通り。

  1. 2015年までに、低コストクラウドサービスがアウトソーシング大手企業の収益の最大15%まで食い込む
  2. 2013年には消費者向けソーシャルネットワークへの投資バブルが、2014年にはエンタープライズ・ソーシャル・ソフトウェア・ベンダーへの投資バブルがはじける
  3. 2016年までに、企業における電子メールユーザーの少なくとも半数が、デスクトップクライアントではなくブラウザやタブレット、モバイルクライアントを利用するようになる
  4. 2015年までに、スマートフォンとタブレットをターゲットにしたモバイルアプリケーションの開発プロジェクトはネイティブPCプロジェクトを上回り、その比率は4対1になる
  5. 2016年までに、企業の40%が全てのタイプのクラウドサービスの利用に際し、独立した機関によるセキュリティテストの結果をクラウド選定条件にする
  6. 2016年末には、Global 1000企業の半数以上が顧客に関する機密データをパブリッククラウドに格納するようになる
  7. 2015年までに、ほとんどの企業においてIT支出の35%がIT部門の予算枠外で管理されるようになる
  8. 2014年までに、米国で消費されているアジア調達の完成品およびアセンブリの20%が、北米・中南米にシフトする
  9. 2016年までに、新たな脆弱性を狙ったサイバー犯罪により、経済的損失は年間10%の割合で増加する
  10. 2015年までに、80%のクラウドサービスの価格にグローバル燃料サーチャージが含まれるようになる
  11. 2015年までを通じ、Fortune 500企業の85%以上が、ビッグデータを競合優位性確保のために効果的に活用することに失敗する

 米Gartnerマネージング・バイス プレジデント フェローのダリル・プラマー氏は、「コンシューマライゼーションとクラウドコンピューティングに関するトレンドが続いているということは、従来IT部門が負っていた一定の責任が別の誰かに移っているということを示している。ここ数年間で、使用中のデバイスに対するユーザーの管理能力が高まるのに伴い、IT部門が管理してきた予算はますますビジネスマネージャーへとシフトしてきている。ITの世界の進化に伴い、CIOはこれまで対象としてきた範囲よりも幅広い範囲で、その活動を調整しなければならなくなっている。IT部門にとってこれは難しい課題かもしれないが、この流れに適応しなければ時代に取り残されることになってしまう」とのコメントを寄せている。

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