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» 2012年05月21日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:富士通社長が語るICTベンダーとしての心得

富士通の山本正已社長が先週、同社のイベントでICT市場のトレンドやICTベンダーとしての心得などについて語った。その中から示唆に富む発言をピックアップしてみたい。

[松岡功,ITmedia]

新しいビジネスの創造へ「攻め」の投資を

 富士通の山本正已社長が5月17日、同社が東京国際フォーラムで開催した「富士通フォーラム2012」において、ICT市場のトレンドやICTベンダーとしての心得などについて語った。ガートナージャパンのバイスプレジデントである山野井聡氏との対談形式で、山野井氏の質問に山本氏が答えるという演出だった。その中から示唆に富む発言をいくつかピックアップしてみたい。

「富士通フォーラム2012」で語る富士通の山本正已社長 「富士通フォーラム2012」で語る富士通の山本正已社長

 「今や企業にとってICTなくして経営は成り立たないと言い切っていい」

 企業経営とICTの関係についてこう一言。「言い切っていい」と断言したのが印象に残った。山本氏曰く、「ICTの利用はもともと企業のバックオフィスを効率化するところから始まったが、今では企業だけでなく社会インフラとして欠かせないものになった」。その上で、「今後、ICTが一層進化する中で、私たちICTベンダーに求められているのは、社会インフラからさらに一歩踏み出して、どのような新しい価値を企業や社会に提供できるか、だ」と強調していた。

 「経営者は新しいビジネスの創造に向けてICT投資を強化するという意思を明確に示すべきだ」

 経営者は今後、ICT投資をどう考えるべきか、と問われてこう発言。山本氏は自らの思いも込めて、「経営者の最大の使命は、自らの会社を成長させること。そのためには、新しいビジネスの創造に挑み続けなければならない」。だが、企業におけるICT投資の現実は、既存資産の維持・運用といった「守り」に8割が費やされ、新しい取り組みによる「攻め」の投資は2割にとどまっているともいわれる。しかも現状ではICT投資自体を増やすことも難しい。ならば、限られた投資の中でも「経営者としては攻めと守りの割合を半々くらいにして、新しいビジネスの創造に注力する強い意思を示すべきだ」というのが、自らの課題でもあるという山本氏の主張だ。

 「新しいビジネスの鼓動は今、多分に現場から芽生えてきている。そうした動きを経営に反映させる手立てを早急に考える必要がある」

 新しいビジネスの創造に注力する中で、CIO(最高情報責任者)や情報システム部門に求められることは何か、と問われてこう発言。ここでいう現場とは、ユーザー企業の業務現場もさることながら、ソーシャルメディアなどの普及によって、これまで吸い上げられなかったさまざまな現場の声や動きがキャッチアップできるようになったことを指すようだ。それらを経営に結び付けてこそ、新しいビジネスチャンスは生まれる。それを見越して山本氏は、「CIOや情報システム部門は、これからますます重要な役割を担うことになる」という。

ICTベンダーの心得のキーポイントは“気遣い”

 「ビッグデータの活用は経営判断の仕方次第で、企業の成長に大きく影響する可能性があることを認識しておくべきだ」

 ビッグデータの活用についての山本氏の見解である。ビッグデータの解釈については、従来から社内に蓄積されてきた業務データと、ソーシャルメディアをはじめとして社外から取り込まれるさまざまなデータがあるとしている。ただ、そうして集められたビッグデータ自体に価値があるのではなく、「それらをうまくコンバインして、自社のビジネスに照らし合わせてどのように分析し、有効な結果を見出せるか。そして、それをどう経営判断するか。分析の仕方やその結果に対する経営判断で価値は大きく変わる」というのが同氏の見方だ。

 「企業や社会のICT基盤としてクラウド環境が適用されることは、もはや当たり前の時代になってきた」

 企業や社会におけるクラウド活用の現状をどう見ているかと問われての発言である。その根拠として山本氏は、富士通グループのクラウド事業が「記録的な上昇カーブを描いて伸びている」ことを挙げた。さらに「これからビッグデータの活用が本格化し、グローバル化におけるICT基盤の整備が進む中で、クラウドに対するニーズはますます高まってくると見ている」と確かな手応えを感じているようだ。

 「クラウドを有効に活用するコツは、それぞれの業務にどのようなICT環境が適しているかをきちんと仕分けすることにある」

 この発言の意図は、「クラウドかオンプレミスかといった二者択一ではなく、クラウドでもパブリック、プライベート、ハイブリッドを、業務によってそれぞれ使い分けるようにしたほうが得策」ということのようだ。もちろん、そのためのマネジメントは行わなければならないが、むしろこの機会に業務プロセスの見直し・改善を進めることができる。「これが一番賢いクラウドの使い方だ」という山本氏のコメントが印象に残った。

 「失敗したプロジェクトの大半は、顧客とのコミュニケーションミスが原因。コミュニケーションミスを起こさないためのキーポイントは“気遣い”にある」

 顧客から喜ばれるICTベンダーであるためのポイントは何か、と問われての発言である。いわばICTベンダーとしての心得だ。山本氏曰く、「ICT構築プロジェクトの場合、とくに前工程である要件定義の段階で、顧客とどれだけ徹底的に議論して意思の疎通を図れたかが成否を分ける。それは取りも直さず、どれだけ気遣いができたかにかかっている。気遣いは日本人の素晴らしい特性だ。富士通も気遣いを持って、顧客に寄り添える存在であり続けたいと肝に銘じている」。気遣いが大事なのはどんな仕事でも同じだ。あらためて自分自身もきめ細やかな気遣いができているか見直してみたい、という気になった。

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