モバイル活用をストレージで支援 EMCジャパンの2013年事業戦略

EMCジャパンの山野修社長が、2013年の事業戦略を発表。スケールアウト型NAS「Isilon」の最新版も発表した。

» 2013年01月31日 19時21分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo 山野社長

 EMCジャパンは1月31日、2013年の事業戦略を発表した。山野修社長は「クライアント/サーバシステムは既にレガシーになりつつある」と指摘し、2013年は「モバイル」「クラウド」「ソーシャル」「ビッグデータ」などの事業領域に注力していくと説明。この方針に基づく新製品として、スケールアウト型NAS「Isilon」の最新版も発表した。

 山野社長はIDC Japanの調査結果を引用し、IT市場の主役がクライアント/サーバシステムから「第3のプラットフォーム」(クラウド、ソーシャルネットワーク、モバイル、ビッグデータなどを中心としたモデル)に変化しつつあると話す。「クライアント/サーバモデルに基づく国内IT市場は2016年までに2.1%縮小するとみられる。一方、第3のプラットフォーム市場は同期間に7.9%の成長が見込まれている」(山野社長)

 第3のプラットフォームのうち、同社が注目する領域の1つが「モバイル」だ。山野社長によると、現在ではIT市場の成長の57%をモバイル関連が担っているという調査結果もある。そこで同社は、子会社であるヴイエムウェアの仮想デスクトップソリューションと、その基盤となるストレージ製品の提供を通じ、企業のモバイル活用を支援していくという。

 「昨年から今年にかけて、当社が新たに出荷したストレージ製品のうち3分の1はVDI(仮想デスクトップ基盤)目的のものだった。仮想デスクトップの導入では仮想サーバ環境の構築が肝要と思われがちだが、意外とストレージとネットワークが運用上のネックになりやすい。今年はその領域に向けてさまざまな製品を提供していく」(山野社長)

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 モバイルのほか、今年はクラウドやビッグデータ関連の製品ポートフォリオも拡充していく。クラウド関連では、ヴイエムウェアが提唱する「Software-Defined Data Center」(ソフトウェア定義のデータセンター)の構築に向くというストレージ製品を「年内に発表」(山野社長)する予定という。

最新OS「OneFS 7.0」を搭載したIsilonを発売

 ビッグデータ関連製品としてこの日発売したIsilonは、大量データの格納などに向くというスケールアウト型NAS製品だ。最新版は、OSを「OneFS 7.0」にバージョンアップし、セキュリティ機能やデータ保護機能の強化を図っている。

 セキュリティ機能では、役割ベースでのアクセス管理を細分化した。また、記録データの改ざんを防ぐ「WORM」(Write Once Read Many)機能を「SEC17a-4」(米証券委員会が定める電子データの保存規則)に準拠させ、堅牢性を高めたという。新たに認証ゾーンの複数割り当て(マルチテナント化)にも対応している。

 データ保護機能では、保存済みスナップショットからのリストア作業を簡素化したほか、遠隔地復旧サイトからのフェイルオーバー/フェイルバックも簡素化した。さらにヴイエムウェア製品との連携機能も強化し、スケールアウトNASとして初めてVAAI(vStorage APIs for Array Integration)とVASA(vSphere APIs Storage Awareness)に対応した。

photophoto OneFS 7.0の特徴

 EMCジャパンの田所隆幸 アイシロン事業本部長によると、従来のIsilonは大量データの保存やビッグデータ分析向けのストレージインフラといった用途に向く一方、エンタープライズIT環境での利用例はそう多くなかったという。今回の刷新を通じ、IsilonをエンタープライズIT環境向けにも積極的に売り込んでいく考えだ。

 昨年6月に発表した「Isilon X400」「Isilon NL400」の2製品については、新たに4テラバイトSATA HDDを備えたモデルをラインアップする。これにより、1つのファイルシステムで最大20.7ぺタバイト(従来は最大15.5ぺタバイト)のストレージ容量を構成できるようになった。1ノード当たりの参考価格はX400が1445万7200円、NL400が1136万2200円(いずれも税別)。

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