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» 2013年02月25日 10時00分 UPDATE

IBM IT Infrastructure Day Report:企業の成長をリードする次世代ITインフラを探る

仮想化やクラウド化が進むITインフラには、企業の成長を担う役割がますます求められている。次のフェーズでは何を目指すべきか。日本IBMが開催したカンファレンスでは来場者を交えて意見が交わされた。

[國谷武史,ITmedia]

 ITインフラの分野では仮想化やクラウド化への取り組みが急ピッチで進められ、数多くの企業がこうした環境を導入、運用するようになった。この先のITインフラにはどのような役割が期待されるのか。これをテーマに、日本IBMが2月21日に開催したカンファレンス「IBM IT Infrastructure Day」の模様をレポートする。

企業の成長をリードせよ

 基調講演に登壇した日本IBM システム製品事業 インダストリー営業担当 執行役員の高橋信氏は、ITは5つのメガトレンド――(1)ソーシャルメディアやモバイルの普及拡大、(2)データと分析、(3)IT基盤の集約と統合、(4)クラウドの採用増加、(5)セキュリティの脅威――によって、新たな時代に向かっていると語った。その中心にあるものがビッグデータの活用である。

itinfra001.jpg 日本IBM システム製品事業 インダストリー営業担当 執行役員 高橋信氏

 ビッグデータ活用ではよく「3つのV」(Velocity:速さ、Variety:多様さ、Volume:量)が特徴として挙げられる。高橋氏は、これに「Value(価値)」を加えることが重要と話す。データから過去を読み解くだけでなく、そこから将来の予想、つまりは洞察を得て行動していくことが必要で、次世代のITインフラに求められる役割であるという。

 仮想化やクラウド化によって既存のITインフラを効率化する取り組みが進んでいるものの、それ以上に新たなアプリケーションのニーズが次々に生まれ、結果としては運用管理コストの削減が思うように進んでいない状況もある。さらに、企業の基幹システムに格納された機密性の高い情報を狙うサイバー攻撃のリスクも高まっている。

 こうした現状に対して同社は、ITインフラの効率化と新たなサービスの提供、セキュリティやコンプライアンス、リアルタイム分析の3つの軸から次世代のITインフラを実現するビジョン「Smarter Computing」を提唱している。高橋氏は、Smarter Computingに基づくPureSystemsやPower System、zEnterpriseといったインフラシステム製品の提供などに加え、企業の中長期的なITインフラの戦略を支援する取り組みを行っていると述べた。

データ活用とビジネスニーズ

 基調講演に続く特別セッションでは、高橋氏とソフトウェア事業 インフォメーション事業部 ビッグデータ・サイエンティストの中林紀彦氏、システム製品事業 アドバンスト・テクノロジー・センター長の大久保そのみ氏をパネリストに迎え、来場者を交えてのパネルディスカッションが行われた。モデレーターはブログメディア「Publickey」を主催する新野淳一氏。

itinfra002.jpg パネリストの高橋氏、中林氏、大久保氏(左から)

 来場者は、受付時に渡された電子投票端末で参加する仕組みだ。はじめに、新野氏が来場者の立場を尋ねた。内訳は「IT部門責任者」が22%、「IT部門メンバー」が31%、「ユーザー(業務)部門」が11%、「ビジネスパートナー」が23%、「その他」が13%。7割近くがユーザー企業の関係者である。次に現在のITの優先課題を聞き、33%が「売上増大への貢献」、31%が「業務やIT自身のコスト削減」と回答した。

 高橋氏は、「優先課題でこの2つが拮抗しているのは、ある意味良い傾向。これまではコスト削減の話題ばかりだったので、IT活用という攻めの姿勢が出ているようだ」とコメント。ITに対する期待感の高まりを示すとみる。中林氏は、「ある意味でこれは今までにない挑戦がIT部門に課せられているともいえる」と話した。

 セッションは、「データ活用」と「ビジネスニーズに応えるITインフラ」の2つのテーマで展開された。

 まず「データ活用」について高橋氏は、基調講演で触れたように過去のデータから将来に向けた洞察を得て、そのための行動を起こすことが重要だと語る。「企業の経営者はライバルより早く次の手を打てることを求めている」(同氏)。中林氏は、「今の状況から1年後を予測して行動する。当然ながら状況は常に変化するので、修正を加えながら行動することが重要だ」と指摘した。

 中林氏によれば、これに成功している企業は、経営層あるいは業務部門が必要なデータにタイムリーにアクセスできる環境を実現している。「システムごとにデータベースが異なるように、システムがサイロ化した環境ではこれが難しい。社内のデータを一元的に活用できるインフラにしていくことが求められる」(同氏)という。

itinfra003.jpg データ活用の現状における来場者の課題

 このテーマに来場者はどのような課題を抱えているのか。新野氏の問いに、30%は「人材・スキル不足」を挙げた。以下は「活用イメージがわかない」(21%)、「費用対効果が不明瞭」(19%)などだった。来場者の回答結果に、中林氏は「意外だった」という。

 「人材・スキル不足といってもその中身は広い。『分析』に高度なスキルや挑戦の難しさといったイメージがあるかもしれない。スキルは、学生時代の教科書を読み返すだけでも十分。業務部門とコミュニケーションを重ね、ビジネスニーズに立ったアプローチをしていくことが大切だ」と中林氏はアドバイスしている。

 もう1つのテーマ、「ビジネスニーズに応えるITインフラ」について来場者が抱える現状とは、次の通りだった。

  • 担当者が多忙すぎる(26%)
  • インフラが複雑すぎる(24%)
  • 現状のスキルで対応が難しい(22%)
  • 新しい投資ができない(28%)

 この結果に大久保氏は、「本当は『全部』と答えたい(回答は選択式)のではないかと思う。ITインフラの運用は可視化が難しく、外見には何もしていないように映るが、その見えない部分が実に大変」と語る。高橋氏は、「IT予算の大半を運用コストが占める現状では、『新しい投資ができない』を感じる人がもっと多いことだろう」と述べた。

 大久保氏は、2010年にサービス開始した日本IBMの社内向けクラウドサービスでのインフラ構築の取り組みを紹介した。仮想化環境の構築とその運用を確立するというファーストステップでは、例えば、仮想マシンの増加に伴うキャパシティ管理の複雑化や障害対応での対応など、さまざまな課題に直面したという。こうした対応では多種多様なスキルが求められるが、スキルを有する最適な人材をアサインするといった面で苦労も伴ったと語る。

 さらに、ビッグデータにも対応可能なインフラへと発展させていく過程では、その規模に対応していけるサーバやストレージといったリソースの管理性の実現やスケーラビリティの確保などが挑戦課題ともなった。「全てをゼロから構築していくというよりも、バランスを考慮してさまざまな手段を最適に組み合わせていくことがポイント」(大久保氏)と話す。

 セッションを通じての来場者の感想は、「理解を深めるためもっと勉強したい」が53%、「取り組みを加速したい」が31%、「さらに深くディスカッションしたい」が16%という結果に。最後に高橋氏は、「勉強していくことも大切だが、ぜひ行動を起こしていただきたい」と締めくくった。

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