レッドハットが2014年度事業戦略を発表、OpenStackなど新領域に注力

仮想化やストレージ、クラウド関連、OpenStack関連など、Linuxディストリビューション以外の事業分野に特に注力していく。

» 2013年04月25日 10時30分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo 廣川裕司社長

 レッドハットは4月24日、2014年度(2013年3月〜2014年2月期)の事業戦略を発表した。昨年度に続き、Linux関連以外の「仮想化」「ストレージ」「クラウド」「ミドルウェア」などの事業領域に特に注力しつつ、新たにオープンソースのクラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」関連事業も強化するという。

 売り上げ全体の約85%をLinux関連事業が占める同社では、仮想化やストレージといった新事業領域に注力している。廣川裕司社長はそれらLinux以外の事業領域を「Beyond Linux」事業と表現し、営業部員の増員やパートナーとの連携強化などを通じて売り上げ規模を伸ばす方針を示している。

 仮想化分野では、サーバ仮想化技術「KVM」や「Red Hat Enterprise Virtualization」の普及を目指す。ストレージ分野では、2011年に買収したGlusterの分散ストレージ技術を用い、ビッグデータの活用やクラウド構築に適したストレージ環境を提供していく。クラウド分野では、2012年に買収したManageIQのクラウド管理ソフトウェアなどを提供。また、「JBoss」を中心としたSOA・ミドルウェア事業にも注力し「売り上げを1年で倍にする」(廣川社長)としている。

 今年度はこれらに加え、OpenStack関連事業も強化。具体的には、2012年8月にパブリックプレビュー版を公開したOpenStackディストリビューション「Red Hat OpenStack」の正式版を、今後数カ月のうちに提供する予定。日本版も今夏をめどに提供するという。

 「OpenStackの最新版である『Grizzly』に対し、ソースコードを最も多く提供している企業はレッドハット。個人としての貢献度を見ても、1位がレッドハット社員であるほか、10位以内にレッドハット社員が6人いる」(廣川社長)。自社がOpenStackコミュニティーに大きく貢献している強みを生かし、OpenStackディストリビューション事業においても「リーダーシップを取りにいきたい」考えだ。

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 一方、「Red Hat Enterprise Linux」を中心としたLinuxディストリビューション事業も引き続き強化する。主に金融業、通信キャリア、政府などで用いられているメインフレームやUNIXサーバのリプレイスなどを通じ、前年度比で20%以上の売り上げ増加を見込む。

 同社の2013年度のグローバルでの売上高は、前年度比17%増の13億3000万ドルと、2003年度以降11年連続での売り上げアップを実現した。廣川社長は「日本では、市場の倍のスピードで成長する。例えばLinux市場全体が8%伸びるとしたら、レッドハットは16%の成長を目指す。そうして日本のIT市場をけん引していく」と意気込んでいる。

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