ビッグデータ処理基盤を月額制で――クラウド型DWH「Treasure Data」日本上陸

Hadoopベースのクラウド型DWHサービス「Treasure Data Platform」が日本上陸。米salesforce.comなど約70社が導入しており、国内では年内50社への展開を目指す。

» 2013年05月20日 18時36分 公開
[本宮学,ITmedia]

 米Treasure Dataは5月20日、クラウド型のデータウェアハウス(DWH)サービス「Treasure Data Platform」の日本向け正式提供を始めた。

photo Treasure Dataの芳川裕誠CEO

 Treasure Data Platformは、ユーザー企業の持つ多量のセンサーデータや購買取り引きデータ、Web閲覧データ、アプリケーションログデータなどをクラウド上に蓄積し、分析可能な形に整理して提供するサービス。月額3000ドルからのサブスクリプション制で利用でき、ビッグデータ活用基盤の構築・運用に関するコストを低減するとしている。

 オープンソースの分散処理技術「Hadoop」と、同社が開発した列指向型データベース「Plazma」の組み合わせで、高速なデータ処理を実現。「それまでユーザー企業が数時間かけて行っていたバッチ処理を早くて数分、長くても数十分で完了できる」(Treasure Dataの堀内健后ジェネラルマネジャー)という。処理したデータは、SQLのクエリやJDBC/ODBCなどを使って活用できる。

 「ビッグデータ処理基盤を構築するには、データ分散技術やストレージ、データ解析技術など、さまざまな要素技術を組み合わせる必要がある。Treasure Dataは全ての要素技術を備え、顧客にデータ解析自体に100%集中してもらえるクラウドサービスを提供する」(同社の芳川裕誠CEO)

photophoto Treasure Data Platformの概要(左)、日本での展開について(右)

 日本での正式提供に先立ち、既にクックパッドや博報堂、マネックス証券など約30社の日本企業が同サービスを利用している。特にクックパッドでは、レシピサービスのレコメンド用データ集計基盤としてTreasure Data Platformを採用。MySQLサーバをクラスタ化してデータを格納していた従来システムと比べ、運用に関わるエンジニアの作業負担やコストを削減できたという。

 ユーザー企業の持つデータの吸い上げには、同社が開発したフリーのログ収集ソフト「td-agent」を使用。クックパッドの場合、既存システムからTreasure Data Platformへのデータ移行は約3週間で完了したという。クラウド基盤にはAmazon Web Serviceを採用している。

 Treasure Dataは、芳川CEOをはじめとする日本人3人が2011年に米カリフォルニアで立ち上げたベンチャー企業。米Yahoo!の共同創業者であるジェリー・ヤン氏などが出資しており、グローバルでは米salesforce.comなど約70社がTreasure Data Platformを採用している。

 日本での正式サービス提供に合わせ、東京に事業開発拠点を設立。今後は同拠点を通じてユーザーサポートなどを提供し、年内に国内50社へのサービス提供を目指す。

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