クラウドも無停止に、老舗ストラタスがOpenStackの高信頼化ソリューション

無停止型ソリューションの老舗、ストラタスが「Software Defined Availability」構想を発表、同社初となるクラウド向けソリューションを来年第2四半期に出荷することを明らかにした。同社のダッソーCMOは、「次の30年もわれわれは主流でありたい」と話した。

» 2013年11月13日 08時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本ストラタステクノロジーは11月12日、都内のホテルでプレスカンファレンスを行い、「Software Defined Availability」(SDA)構想を発表、その第1弾として、マルチコア対応のWindowsおよびLinuxアプリケーションも無停止型にできるソフトウェアソリューション「everRun Enterprise」と、OpenStackで構築されたクラウド基盤の信頼性を高めるソリューションをそれぞれ2014年第1四半期と第2四半期に出荷することを明らかにした。

IBM、Sun Microsystems、AMDなどでマーケティングの要職を務めたナイジェル・ダッソー副社長兼CMO

 マサチューセッツ州メイナードに本社を置くStratus Technologiesは、30年以上の歴史を持つ無停止コンピューティングの専業ベンダー。当初は専用機によって無停止を実現していたが、1990年代以降は、UNIX、Windows、Linuxへと対応の幅を広げ、その時代の主流となるプラットフォームで高可用性無停止型ソリューションを提供してきた。

 来日したナイジェル・ダッソー副社長兼CMOは、「次世代の高可用性ソリューション“SDA”によって、次の30年もわれわれは主流でありたい」と話した。

 「everRun Enterprise」は、昨年9月に同社が買収したMarathon Technologiesの無停止型システムソフトウェア「Marathon everRun MX」と、障害予兆検知や自動ライブマイグレーションなどを得意とする同社の「Avance」ソフトウェアを統合したもの。WindowsとLinuxの仮想化環境で無停止を実現、アプリケーションの手直しも不要で、そのまま企業システムの信頼性を高められる。

 一方、まだ名称が決まっていない同社初となるクラウド向けソリューションは、OpenStackベースのクラウド基盤に組み込むことで、制御機能とワークロードの双方を高信頼化し、安価な汎用ハードウェアで構築されたクラウドも無停止型へと強化できるという。everRun Enterpriseと同様、アプリケーションの変更が不要なほか、仮想マシンごとに「ノンクリティカル」「ビジネスクリティカル」および「ミッションクリティカル」といった可用性のレベルを必要に応じて柔軟に変えられるのが特徴だ。

SDA + SDN = 基幹アプリケーションのクラウド移行を加速

 基幹業務システムのクラウド移行には、こうした高可用性とともに、セキュアかつ柔軟なネットワーク接続も欠かせない。この日のプレスカンファレンスには、「Software Defined Network」(SDN)技術のリーディングカンパニーであるACCESSの楢崎浩一副社長兼COOが同席、両社の協業を通じて企業による本格的なクラウドの活用、基幹アプリケーションのクラウド移行を支援していくことを明らかにした。

ストラタスのSDAとACCESSのSDNが連携することでクラウドがより堅牢かつ柔軟に

 両社は今年4月、ミッションクリティカルなネットワーク要件を満たす堅牢性の高いネットワークソリューションを共同で提供していくことで合意している。

 両社のSDA技術とSDN技術が連携することで、オンプレミスとクラウドが混在する環境下で、例えば、「CPUが2基、メモリは8Gバイト、二重化構成の仮想マシンを生成し、店舗ネットワークだけと接続したい」といった要件を単一のコンソールから即座に実現することができるという。

 ストラタスでは、さまざまなITサービス企業との協業を進め、ベンダーにロックインされないエコシステムの構築を進めるとしている。

 なお、クラウド向けソリューションのベータプログラムは年内にも開始されるという。

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