Windows 8.1

XPマイグレーションのアラカルト、忘れてはいけない課題さよならWindows XP、そしてWindows 8.1へ(3/3 ページ)

» 2013年11月21日 08時00分 公開
[山本雅史,ITmedia]
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 大きな問題としては、どうしてもWindows XPでしか動かないアプリケーションが存在するケースだ。企業にとって、どうしても必要なアプリケーションである場合は、Windows 8.1 Enterprise版を利用してWindows XPを仮想化し、動かせばいい。

Windows 8の仮想環境で、Windows XPとWindows 7を動作させてみた。このように、Windows 8/8.1上で、複数のOSを利用できる
マイクロソフトではWindows XPのPCのHDDを仮想ディスクファイルにして、Windows 8/8.1の仮想環境に移行する方法を勧めている

 Windows XP自体をWindows 8.1の仮想環境で動かすため、周辺機器などを利用するWindows XPのアプリケーションに互換性の問題が出てくるものの、多くのWindows XPは動作するだろう。ただし、1つのPCで複数のOSを動かすため、CPU性能やメモリ容量などが高いPCが必要になる。

 また、Windows 8/8.1の仮想環境でWindows XPを動かすには、Windows 8とは別にWindows XPのライセンスが必要になる。このためOSのコストが2倍かかってしまう。実はWindows 8/8.1 Enterprise版には、1つのパソコンで最大4つのWindows OSを動かすライセンスが入っている。Windows 8/8.1 Enterpriseを使用すれば、1つのOSライセンスで複数のWindows OSを動かしてもライセンス違反とはならない。

 Windows 8/8.1 Enterpriseは、マイクロソフトの「ソフトウェアアシュアランス(SA)」という契約ベースで提供され、店頭でWindows 8/8.1 Enterpriseのパッケージや対応PCを購入できるわけでは無い。SAの価格は企業規模などによって異なるため、「ズバリおいくら」とは言い難い。OSのライセンス料プラスSA料となるため、単純に考えればコストは高くなる。

 ただ、SAの契約をすればWindows 8/8.1 Enterpriseが利用でき、1台のPCで複数のWindows OSを動かしても動作させているWindows OS分のライセンスは発生しない(最大4台分)。つまり、Windows 8.1上でWindows 7とWindows XPを動かしても追加コストは必要ないわけだ。

 SAを契約すれば、様々な管理ツールやアプリケーション、サポートサービスなども利用できる。SA契約期間中に新しいOSがリリースされれば、契約期間中ならな無償アップグレードができる。このようなことを考えれば、企業規模が小さくても、マイクロソフトのOSを利用する上でのSA契約はメリットがあるといえよう。

SAでできることをまとめたWebサイト。SAを使えば、仮想化のライセンスだけでなく、企業で便利に利用できる管理ツールや追加サービスなど様々なメリットがある(マイクロソフトより)。

 マイクロソフトではクラウド型のIT管理システムの「Windows Intune」というサービスがある。Windows Intuneは、セキュリティ対策やデバイス管理、統合管理などマイクロソフトが提供しているSystem Centerをクラウド上から低コストで提供している。このサービスを使用すれば、Windows Intuneのサービス料+SAで月額900円(PC1台あたり)となる。これなら、中小企業でも利用しやすいだろう。

Windows Intuneの機能。Windows Intuneはクラウド型のクライアント管理システム。SAを低コストで追加できる(マイクロソフトより)。

 オフィスで利用しているPCのWindows 8/8.1への移行は、いろいろ問題もあるが、なんとかできるだろう。より大きな問題としては、工場などで使用してPCがある。様々な機器をコントロールするために専用のアプリケーションがインストールされているため、安易にWindows 7/8/8.1に移行できない。

 こういった場合は単独で動作していたり(LANに接続されない、外部からデータが持ち込まれないなど)、工場内部だけのLANに接続されているだけなら、そのままそっと運用し続けるという最終手段もある。この場合、セキュリティレベルを今までよりも高く保つ必要がある。Windows XP用にセキュリティソフトを提供し続けるサードパーティもあるため、そういったソフトを採用したり、USBメモリやUSB HDDなどを接続できなくするなどの注意が必要だ。また、工場内のPCをインターネットや社内LANに接続しないなど、セキュリティに関する問題を起こさないようにネットワークにも注意を払う必要がある。

 Windows XPから新しいOSへの移行は大変な作業となるだろう。ただ、ビジネスにとってPCは不可欠なツールである。こういったIT環境を考慮すると、新しいOSへの移行作業は将来にも渡って、ずっとついて回る問題だ。Windows XPの延長サポートの終了は近づいているが、慌てて暫定的に移行すれば、数年後にまた同じことの繰り返しになる。

 だからこそ、Windows XPから新しいOSへの移行をチャンスととらえて、どのようなITシステムが自社に必要なのかを考えてほしい。

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