「次の50年も社会変革を牽引」── メインフレーム50周年を祝うIBM

日本IBMがメインフレームの50周年を祝う夕食会を都内で行い、顧客らに感謝の気持ちを伝えるとともに、次の50年も最先端の技術で新たな時代を切り開いていくとした。

» 2014年04月11日 11時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]
「IBM Mainframe 50」で挨拶するイエッター社長

 日本アイ・ビー・エムは4月10日夕方、都内のレストランでメインフレームの50周年を祝うイベント「IBM Mainframe 50」を開催、その革新を支えてきた顧客らに感謝の気持ちを伝えるとともに、次の50年も最先端の技術をメインフレームに盛り込み、新たな時代を切り開いていくとした。

 日本IBMのマーティン・イエッター社長は、「System/360を世に出したのは、東京オリンピックが行われた1964年。メインフレームには常に最先端の技術が盛り込まれ、顧客とともに磨きを掛けてきた」と話す。

 IBMが社運を賭けたSystem/360は、さまざまな業務に応じてプログラムを開発できた初めての「汎用機」だった。ちなみにその名称は、ビジネスから科学技術計算に至るまで、360度さまざまな用途に使えることに由来しているという。このSystem/360は世界中の企業に業務の省力化をもたらし、IBMをコンピュータの巨人へと押し上げた。

 50年前のSystem/360と現在のSystem z EC12を比べると、性能は実に7万8000倍に進化した。こうした比較はなかなかピンと来ないものだが、「新幹線開業当時、3時間10分かかった東京・大阪間を0.14秒に短縮してしまうような劇的な進化だ」とイエッター氏は胸を張る。

 メインフレームによる半世紀に及ぶ変革の原点、その幾つかは日本にもある。1964年、東京オリンピックではIBMのメインフレームによって初めて競技記録がオンラインで処理され、翌年にはその技術をベースとし、旧三井銀行で世界初の勘定系オンラインシステムが稼働した。'68年には旧八幡製鉄でもやはり世界初となる鉄鋼業の生産管理オンラインシステムが稼働した。

 古臭くてコスト高のイメージがつきまとうメインフレームだが、「今も企業のデータの8割はメインフレームに格納されている」とイエッター氏。メインフレームによって年間、30億人のフライトが管理され、6兆円に上るクレジットカード決済が処理され、ATMでも230億件の取引が行われている。その究極のセキュリティと堅牢性による高い信頼性がわれわれの生活を支えている。

モバイルやクラウドの基盤にもメインフレームを

 業界では「SMAC」(ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウド)と呼ばれるテクノロジートレンドが大きなうねりとなっているが、イエッター氏は、「新しいテクノロジートレンドもエンタープライズクラスのコンピューティングを必要としている」とし、SMACの最適な基盤としてSystem zを売り込む。従来型の「Systems of Record」で圧倒的な強みを発揮してきたメインフレームだが、その堅牢さと卓越した性能によって新しいタイプの「Systems of Engagement」も大きな1台のコンピュータに統合、企業にとって価値ある大量のデータをコピーすることなくリアルタイムで分析し、迅速にビジネスに生かすことができるという。2つのタイプのシステムが融合した「Systems of Insight」だ。

 IBMは50周年という節目のこの日、モバイルアプリケーション向けにコストを抑える新しい価格体系や、System zをクラウド基盤として迅速に導入するための統合システム「IBM Enterprise Cloud System」を発表した。

 この1月、x86サーバ事業の売却を発表したばかりだが、メインフレームへの研究開発投資は約束する。96個の鉄原子で1バイトのデータを保存する「原子ストレージ」、大量データのスーパーハイウェーである「光回路」、コグニティブシステムを実現する「量子コンピュータ」と脳を模倣した「ニューロ・シナプス・チップ」など、わくわくするような研究開発が進行中だという。

 「メインフレームには社会の仕組みを変革する使命があり、そのために再発明を繰り返してきた。次の50年もプレミアムな製品であり続ける」(イエッター氏)

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