日本IBM、セキュリティ人材の育成支援を実施へ SOCもリニューアル

企業顧客のセキュリティ運用・監視を手掛ける「セキュリティオペレーションセンター(SOC)」を移転・リニューアルし、SOCを活用したサービスも強化する。

» 2014年05月29日 17時16分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本IBMは5月29日、企業向けセキュリティ運用監視サービスを提供している「Tokyo セキュリティー・オペレーション・センター(東京SOC)」を移転・リニューアルさせた。同社はSOCサービスを今夏から強化し、セキュリティ人材の育成支援などにも着手する。

 IBMのSOCは世界10カ所で運営されている。東京SOCは、2001年に旧インターネットセキュリティシステムズ(IBMが2006年に買収)が都内に開設したもので、今回は設備更新などに合わせて拠点を日本IBM本社内に移転した。

 SOCでは顧客企業のネットワークに設置されたセキュリティ機器(マルチベンダー)の運用・監視や、セキュリティインシデントの分析調査などを24時間体制で行っている。約4000社が利用し、監視対象機器は約2万台に上る。

新「東京SOC」の玄関(左)とオペレーションルーム

 新しい東京SOCは、監視サービスの機能や約40社のパートナー企業のソリューション検証機能などが強化されたほか、人材育成支援のための機能が追加された。監視サービスでは脅威分析の「SIEM(セキュリティインシデント・イベント管理)」やサイバー攻撃などの初動対応支援サービスで、SOCの機能をさらに活用するという。ソリューション検証では8月以降にFireEye製品などが対応する。また、インターネット経由で企業インフラの脆弱性を診断するサービスも予定している(時期未定)。

 人材育成支援では情報セキュリティ大学院大学やiLearningと協業し、「CSIRT(セキュリティインシデントなどに対応する組織横断型のチーム)」を担当できるスキルを持った人材を養成するためのセミナーを開設する。

 セミナーは5〜10人ほどのグループで、5日間の講義と実習(のべ30時間)を行い、インシデント発生時における状況分析や意思決定、関係者間の調整と管理、対策の立案・実施、外部への公表といったインシデント対応に必要なスキルを学ぶ。受講料は1人あたり40万円ほどになるという。

セミナーコースの概要。対象者欄にある「ITセキュリティー 一般の基礎知識」とはITセキュリティ全般に関する基礎的な理解ができていることだが、ITスキルとしてはシステム構築や運用経験などに相当するレベルという

 会見したグローバル・テクノロジー・サービス事業 ITSデリバリー ユーザー&コミュニケーション サービス担当 理事の我妻三佳氏は、「昨年時点で2万人のセキュリティ人材が不足し、現在はもっと足りない状況。セキュリティインシデントは対応を急ぐ必要があり、それができる人材の育成も急務」と話している。

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