1万社以上が回答、営業秘密を漏えいした企業の3割は対策せず――帝国データバンク調べ

帝国データバンクが8月に実施した調査によれば、営業秘密の重要性を認識しながらも、半数が漏えい対策に取り組んでいなかった。

» 2014年09月12日 21時02分 公開
[ITmedia]

 ベネッセグループから推定で約3000万件もの大量の個人情報が漏えいしたばかりだが、企業の多くはこうした営業上の秘密の重要性を認識しながら、漏えい対策に取り組んでいないことが分かった。実際に漏えいを起こした企業の3割が対策をしていなかった。

 帝国データバンクが8月下旬に実施した「営業秘密に関する企業の意識調査」では1万1023社が回答、9月11日にその結果が発表された。

 それによると、営業秘密を重要であるとした企業は82.3%、大企業では87.6%だが、小規模企業では74.3%にとどまる。「重要ではない」と回答する企業も12.3%あった。

 過去5年間における営業秘密の漏えいの有無では「なし」とした企業が75.8%、「あり」「疑われる事例あり」とする企業が9.5%だった。「分からない」は14.7%に上る。

 「あり」「疑われる事例あり」では企業規模別に大きな違いはみられなかった。大企業では技術的な対策や教育などの取り組みが進んでいても、事業規模も大きいだけに発生頻度は高い。一方、小規模な企業では対策などが追い付いていないとみられる。

 営業秘密の漏えい対策について、「取り組んでいる」とした企業は51.6%、「取り組んでいない」という企業は35.2%だった。過去5年間で営業秘密の漏えいが「あり」「疑われる事例あり」とした企業で、対策に「取り組んでいない」とした企業は31.5%に上った。調査ではこうした企業から、退職者が再就職先に情報を持ち出すのは防げない、対策が分からないといった声が挙げられている。

 営業秘密の漏えい対策方法については、現在取り組んでいるものでは「秘密保持契約の締結」(53.1%)や「情報の管理方針などの整備」(50.2%)、「データなどの持ち出し制限の実施」(46.7%)が上位を占めた。今後取り組む対策では「情報の管理方針などの整備」(25.2%)、「営業秘密とそれ以外の情報の区分」(20.9%)、「データなどの持ち出し制限の実施」(20.1%)などが挙げられた。

 ここでは「最後は個人の問題に行き着く」との指摘も多くなされ、社内での円滑な人間関係の構築などで漏えいを防ぐことが重要だという。

 帝国データバンクは、政府の成長戦略で知的財産の重要性が挙げられながらも、各企業で人的・金銭的な要因から対策に取り組めていない状況は望ましくないと指摘。金融支援や漏えい防止策を策定する専門家の派遣、被害立証の負担軽減といった策を早急に実施すべきだとしている。

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