OpenStackやREST APIに対応した最新JP1リリース時代を先読みした機能を取り込み

日立製作所がJP1の最新版をリリースした。本バージョンでは、OpenStackやREST APIなどに対応し、マルチクラウド環境でも運用管理ツールシェア死守を目指す。

» 2014年09月29日 11時00分 公開
[大津 心,ITmedia]

 日立製作所は9月29日、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」の最新バージョン「JP1 V10.5」を発表した。翌9月30日より販売を開始する。本バージョンでは、マルチクラウド環境へ対応し、オンプレミスを含めた複数種類のクラウド環境を一環して管理可能となった点が特徴だ。

OpenStack対応を大幅強化

 JP1は、システムの統合監視からオペレーションの自動化などを支援する運用管理ツールで、国内No.1のシェアを誇る。今回リリースされた「JP1 V10.5」では、市場で多く利用されている主要なプライベートクラウド基盤やパブリッククラウドサービスへの対応を強化し、従来のオンプレミス環境だけでなく、プライベート、パブリック、ハイブリッドなどあらゆる環境の一元管理を実現しつつある。

 具体的には、新たにOpenStack用のサービスポータル「JP1/Service Portal for OpenStack」を製品化した。同製品は、企業利用で必要となる承認処理や操作履歴の保存・参照などを装備、利用者向けにはGUIを用意し、容易な管理性を提供するという。

 また、プライベートクラウド基盤での利用が多いVMwareへの対応も強化。VMwareの監視製品「VMware vCenter Operation Manager」とJP1のコンソール製品「JP1/Integrated Management」の連携を実現した。これにより、VMwareの監視製品が取得した情報をJP1に転送・集約し、JP1のコンソール上からVMwareを含めた稼働管理が可能となる。

 JP1では、既にパブリッククラウド基盤である「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」において、“オートスケールされた仮想マシンの監視設定を自動追加し、監視漏れをなくす機能”を搭載。AWSの監視ツール「Amazon CloudWatch」とJP1の監視製品「JP1/Performance Management」を連携させるなど、パブリッククラウド対応もしており、引き続きパブリッククラウド対応も強化していく方針だ。

REST API対応で運用自動化が大幅強化

 前バージョンである「JP1 V10.1」で強化された運用自動化だが、「JP1 V10.5」でもさらに強化が図られている。「JP1 V10.5」の目玉は、JP1の運用自動化基盤「JP1/Automatic Operation」がREST APIへ対応した点だ。REST APIはXMLで記述されたWebアプリケーションインターフェイスで、HTTP経由で連携できるため、クラウド連携などでも広く利用されている。

 REST APIへ対応したことで、既存システムとの連携や運用管理用のスクリプト生成、GUI画面からのサービス実行などが容易になり、運用自動化がより近づく。

 同社では、「REST APIによる連携が今後の運用管理の主流になる」と考えており、今後REST API対応製品を拡充させていく予定だ。

スモールスタートに配慮したライセンスモデルの投入

 クラウドの特徴のひとつに「小さく始めて必要に応じて大きくできる」点がある。多くの企業ではこの特徴を活用し、新規事業などスモールスタートしたい場合などでクラウドを利用している。日立はこの風潮を踏まえ、JP1でも小規模から導入しやすいライセンスの提供を進めている。

 今回新たに高速大容量データ転送製品のスモールスタート向けライセンス「JP1/Data Highway - Server Starter Edition」の提供を開始。例えば、ファイルサーバーのデータを遠隔地保管する場合など、“データ数が多く高速データ転送は行いたいものの利用頻度は少ないユーザー”でも導入しやすくした。

 また、5月からは時間課金で日立のミドルウェアが利用できる「オンデマンド・ミドルウェアサービス for Amazon Web Services」の提供を開始。ミドルウェアのコストを最適化できるようにしている。

 日立製作所 統合PF開発本部 パートナーソリューション開発部 部長代理 西山勲氏は、「JP1 V10.5ではマルチクラウド時代を見据え、プライベートクラウドとパブリッククラウドの連携を強化し、ビジネス変化に対応できる俊敏な運用のサポートを心掛けた。来年度の提供を予定している次世代JP1では、さらに予兆検知から原因特定、対処まで可能な高度な運用管理機能を提供していくほか、クラウドやグローバルを意識したライセンスを拡充していきたい」と語り、今後のロードマップの方向性を示した。

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