Windows Server 2003のサポート終了、「これから移行」を失敗しない方法は?Enterprise IT Kaleidoscope(3/4 ページ)

» 2014年12月09日 07時00分 公開
[山本雅史ITmedia]

移行は2段階のステップで

 WS2003/2003 R2の移行に際しては、事前に社内のサーバがどのような用途に使われているのか、どのようなOSが使われているのか、どのようなプリケーションが使われているのかを確実に把握しておかないといけない。社内サーバの棚卸しである。そして、サーバのハードウェアの入れ替え、アプリケーションの移行という2段階に分けて行うことが望ましい。

 まずハードウェアの入れ替えでオンプレミスのサーバを仮想化し、物理的な台数を減らす。この時点ではOSやアプリケーションの移行は考えずに、現状のシステムをそのまま移行すればいい。ハードウェアの入れ替えや仮想化にかかる作業は伴うが、WS2003/2003 R2上で動作しているアプリケーションの移行(場合によっては開発)作業よりも短期間で終えられるだろう。ハードウェアを入れ替えてから、じっくりと新しいOSにアプリケーションを移行すればいい。

 もちろん、2015年7月までにWS2003/2003 R2からの移行を終えるのがベストだ。しかし、2014年を終えようとしている今から作業を行うとすれば、2015年7月までに移行を終えることはまずできない。先にサーバのハードウェアだけを移行させて既存の動作環境と開発環境を整え、じっくりとWS2003/2003 R2からの移行を進めるべきだ。もし、2015年7月を過ぎても移行作業が続くなら、ネットワークセキュリティ製品のIPS/IDS(侵入検知/防御システム)を用意して、移行が終了するまでの間のセキュリティを確保するという考え方もある。

 WS2003/2003 R2から移行する先のOSにも注意が必要だ。WS2003の次の世代に当たるWS2008/2008 R2は2020年にサポートが終了するため、できればWS2012/2012 R2を選択すべきだ。WS2012/2012 R2のサポート終了は2023年1月である。現状では多くの企業が安定性を求めてWS2012を選択しているようだ。

Microsoftの中小企業向けWS2003移行キャンペーンでは、OSライセンスなどが10%割引になる
移行促進策としてはファイナンシングも用意されている

 もう1つ重要なことは、社内のITシステムのライフサイクルをどう考えるかという点だ。Windows XPやWS2003/2003 R2などのように、今後もOSのサポート終了は必ずあり、また、サーバのハードウェアの寿命も必ず来る。こういったことを前提に、新しいハードウェアや新しいOSへ移行しやすいITシステムが必要になってくる。

 かつて企業は、自社にとって使いやすいように独自でITシステムのアプリケーションを開発していた。しかし、今後のことを考えるとアプリケーションはできる限り標準的なパッケージを使い、世界的にスタンダードになっているアプリケーション ベンダーの製品を選択すべきだろう。これは開発元の会社が廃業したり、新しいバージョンをリリースしなくなることへの対処だ。IT担当者が情報に精通していることも大事であり、システムインテグレーターへ相談を持ちかけてもいい。

 やむを得ずアプリケーションを自社開発する場合は、アプリケーションのライフサイクルを考えておかないといけない。現在のOSで動作するだけでなく、将来のOSでも動作することを前提にしたアプリケーションを開発すべきだろう。また数十年後に担当者が変わっても、きちんとシステムを把握できるドキュメントなども必要になる。

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