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» 2015年07月31日 07時30分 UPDATE

特集 情シスが率先して実施する「企業のマイナンバー対応」:間に合う? マイナンバー対応 「進んでいる企業」はこうしている (1/3)

マイナンバー制度の開始まであと数カ月。果たして対応は間に合うのか。法令順守のためにいち早く策を講じてきた企業に、「どうしているのか」取り組みのポイントを聞いた。

[岡崎勝己,ITmedia]

 2016年1月に制度開始、企業の実務は2015年10月よりもうはじまる「マイナンバー制度」。

 企業のマイナンバー対応には、重要情報(マイナンバーを含めた特定個人情報)の収集、本人確認、確実な消去といった「これまでなかった、新たな業務」が発生する。マイナンバーを扱う主体となる人事や総務部門が主体となって対応作業を進める例が一般的だが、それ以外に情報システム部門、法務・コンプライアンス部門、営業部門なども広範囲に関わることを見落としがち──との危惧がある。自身が関連部門に在席していなければ、部門個別の業務に見落としが発生する可能性がある。制度開始前後に混乱が起こる可能性はこういったところにもある。

 マイナンバー制度への対応は企業の義務である。だが現時点、企業によって対応の温度差はやはり存在する。専任者を配置して早くから取り組みを進める企業もあれば、いまだ手つかずの企業もある。

 では「対応が進んでいる」企業はこれまで何をしてきたのか。サッポロビール、サッポロライオンなど5つの事業会社、さらに約70社の子会社があるサッポログループに「対応の考え方とその方法」を聞いた。


photo サッポロホールディングスのWebサイト 主な事業会社に酒類事業のサッポロビール、食品・飲料事業のポッカサッポロフード&ビバレッジ、国際事業のサッポロインターナショナル、外食事業のサッポロライオン、不動産事業のサッポロ不動産開発など。グループコーポレート機能とサッポログループ共通業務を担う機能分担会社にサッポログループマネジメントがある

グループの共通機能を担う企業・部署がプロジェクトを牽引

 サッポログループは、マイナンバー制度対応を目的とした「部門横断プロジェクト」を2015年2月に立ち上げた。2014年12月に個人番号(マイナンバー)の取扱に関するガイドラインが発表され、具体的な対応策が明確になり始めたことがきっかけだった。

 もちろん対応方針の検討は、マイナンバー法が成立した2013年よりで段階的に進めていた。マイナンバー制度は法として罰則規定があり、影響を受ける業務範囲も広い。つまり、経営に関わるリスクやインパクトが大きいと判断した。従業員数はグループ全体で約1万3000人。グループ各社に合わせた対応も必要なため、完了までに多大な労力が必要。しかし施行までの猶予期間はそれほどない。これらを勘案すると2016年1月の制度開始に向け、より先んじた情報収集や展開策の検討などが不可欠と判断したからである。

 幸いしたのは、サッポログループは組織間での対応に乗り出しやすい環境だったこと。企業のマイナンバー対応は、実は主導すべき部署が明確でない。帳票対応は経理部門、その社内システム改修はITシステム部門と分かれるだろう。では「強固なセキュリティ対策の指針」はだれが決めるの? 「番号を収集」する業務はどの部署がやるの? ──例えばこんな感じだ。「他部門が対応を進めるはず」との認識が生じやすく、そのことが結果として“対応遅れ”につながりかねないと危惧されている。

 サッポログループは、酒類事業のサッポロビール、食品・飲料事業のポッカサッポロフード&ビバレッジ、国際事業のサッポロインターナショナル、外食事業のサッポロライオン、不動産事業のサッポロ不動産開発などを主な事業会社とし、人事総務や経理、IT統括などのグループ共通機能は同じくグループ会社のサッポログループマネジメントに集約している。同社はグループ各社の情報を管理するとともに、業務自体を管理・把握する役割を担う企業だ。サッポログループマネジメントのグループ人事総務部で人事グループリーダーを務める城戸寿弘氏は、「当社の業務内容を考えると、我々がマイナンバー対応を率先しなければグループ各社の対応が始まらないと容易に推察されました。そこで、われわれが率先して当社グループ内で対応策の協議を進めるとともに、ホールディングスを含む経営層に対してマイナンバー対応の必要性を訴え、理解を得ることに努めることで、プロジェクトの立ち上げに向けた地盤を固めていきました」とプロジェクト発足の経緯を説明する。

外部の知識を活用し“時間”を買う

photo サッポログループマネジメント グループ人事総務部 人事グループリーダーの城戸寿弘氏

 マイナンバー対応プロジェクトで中心的な役割を担うのは、前述したサッポログループマネジメントで人事総務や総務、IT統括を担当する約20名のメンバーである。

 柱となる取り組みは、

  1. 個人番号の取得・運用フローの確立
  2. 個人番号管理や帳票変更のためのシステム整備
  3. 個人情報による関連規定の整備
  4. 教育・研修のツールの整備と実施

 の4つである。サッポログループは2014年からワークスアプリケーションズの統合人事給与システム「COMPANY」をグループ内に展開中であり、同社よりマイナンバー収集と管理のシステムが無償提供されることを、従業員やその扶養家族のマイナンバー収集と管理は同システムで行う方針を早期に固めた。なお、これらは城戸氏が温めてきた腹案がベースとなっている。

 もちろん、基本方針を策定してプロジェクトを始動させるまでの困難もあった。とりわけ苦労を強いられたのが「対応法の具体的な内容を見極めること」だった。

 マイナンバー制度への対応はすべての企業が対象となる。しかもすべての企業が“初めて”行う業務だ。加えて、ガイドラインの中には複数の意味で解釈できるものも存在するため、妥当な要求レベルを把握することに手間取った。

 「マイナンバー対応は確かに企業の義務です。当初はコストをできる限り抑えるため、我々だけで完結する対応を目指しました。しかし、マイナンバーを記載する帳票のリスト化や業務フローに潜むリスクの洗い出し、さらにガイドラインを正確に読み解くことは、情報が乏しかった当時はとても困難でした。そこで当プロジェクトでは、外部のコンサルタントを有効活用する方法も取り入れ、いわば対応のための時間を買うことにしました」(城戸氏)

photo 「マイナンバー部門横断プロジェクト」の体制(提供資料をもとに編集部抜粋)
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