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» 2016年03月01日 07時15分 UPDATE

AIの「今」を知る【前編】:50年以上研究されてきた人工知能、今なぜブームに? (3/3)

[やつづかえり,ITmedia]
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AIにブレークスルーをもたらしたのは“脳科学”

 1950年代に研究が始まった当初、AIはニューラルネットワークというアイデアを使い、人間の脳を模倣することで人工的な知能を実現しようとしていた。しかし、当時はあまりうまくいかなかったという。

 「目的が大きすぎたというか、人間の脳のようなものすごく複雑な装置を1950年代の技術で実現できるはずがなかったのです。また、脳をまねしたと言っても、脳の基本要素であるニューロン(神経細胞)の動きを、本当に初歩的な高校数学レベルの関数でシミュレートしたものでしたから、今から思えば若干の誇張があったとも感じますね。そして、コンピュータの処理能力の限界もあって、当時のAIはあまり使い物にならなかったのです」(小林氏)

 その時点で研究者をはじめ多くの関係者は幻滅し、ニューラルネットを諦めた。その後しばらくは、人間の知的能力を一種の記号やルールで表現する方式が主流になったが、結局これも大した成果が出ず、AIは1980年代終盤から「冬の時代」を迎えた。しかし、当初の「脳をまねる」というアプローチ自体は間違っていなかったと小林氏は語る。粘り強く研究を続けたごく一部の研究者は、2000年代になってAIの技術を大きく発展させたのだ。その背景には“脳科学”の進歩があった。

 「AIに芽が出てきたのは、2004年から2006年頃ですから、21世紀になってようやくです。その裏には、1990年代に脳科学の分野で起きたさまざまなブレークスルーがありました。特に脳の中でも視覚野という部位の情報処理のメカニズムが分かってきたことが大きかった。われわれが何かモノを見たときに、それが何であるかを認識する仕組みが、ある程度分かってきたのです。

 さらにそれが、数学的なアルゴリズムとして数式で表現できるようになった。それをAIの研究者が引き継いでコンピュータプログラムに取り入れたところ、大きな成果が出たのです。世界的な画像認識のコンテストで他を圧倒的に引き離す認識率を示し、それを境にAIへの注目度は一気に上がりました。これが今ディープニューラルネットとか、ディープラーニングといわれている技術です」(小林氏)

 最新の脳科学の知見を受け継いだことで、AIは実用レベルで期待できる技術へと、飛躍的に進化したのだ。後編では、そのようなAIの発展を受け、企業が研究をリードし、ビジネス面での活用が拡大し始めた現状や、今後AIについてIT担当者が知っておくべきことを聞いていく。(後編に続く

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