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» 2016年04月06日 07時00分 公開

クラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方:第13回 オブジェクトストレージの新たな活用 どんなところに効く?

これまで次世代ストレージとして注目されているオブジェクトストレージの特徴やメリット・デメリットについて解説してきました。そのまとめとして、筆者が気になっているオブジェクトストレージの新たな利用方法を紹介します。

[井上陽治(日本ヒューレット・パッカード),ITmedia]

 これまでオブジェクトストレージの特徴や、その高い経済性、拡張性、データ堅牢性といった多くの利点を解説してきました。一方でオブジェクトストレージにも苦手なところがあり、使い方の注意点についても幾つかの事例を通じて説明してきました。今回はそのまとめとして、少し見方を変えながら筆者が最近、特に気になった新しい利用方法を紹介してみます。

長距離準同期のディザスタリカバリ

 通常、オブジェクトストレージは同期レプリケーションのような使い方には向いていません(解説はこちら)。ところが同期ではなくても、それに近い“準同期”でディザスタリカバリ(DR、災害時の復旧)が可能なサービスも登場してきています。DRサイトは地理的に、かなり離れている必要があり、さらに普段使うことはないので、低コストで実現することが理想ですし、データの堅牢性も重要です。このような条件を備えているオブジェクトストレージと“準同期”のDRはかなり良い組み合わせと言えます。

ビッグデータ分析

 最近聞かれるのは、ビッグデータ分析に対するオブジェクトストレージの活用です。ビッグデータ分析は、通常Hadoopなどで行われますが、この分析後のアーカイブデータの保存先としてオブジェクトストレージを使います。分析されたデータをモバイル端末から閲覧する、またはその結果をさらに加工して表示したり、レポートにしたりするアプリケーションを通じて、オブジェクトストレージから直接、元となるデータを読み取ることもできます。

IoTデータの保存から分析まで

 ビッグデータ分析に関してさらに言えば、その分析されるデータとして現在増え続けているのがIoTデータでしょう。今後、「つながるセンサー」の数が爆発的に増えると考えられ、それらのデータが全てではないにせよ、多くがビッグデータ分析基盤に送られます。

 しかし、世界中に点在している多様なデータをリアルタイムに分析することは、あまり現実的ではありません。そこで、一度大きなストレージプールにどんどん溜め、その中から必要な情報を読み出して分析することになります。その際、一時的なデータ保存のストレージとして、オブジェクトストレージが最適と考えられます。

 その理由としては以下のようなものがあります。

大容量、低コスト

 これから増え続けるIoTデータの保存には、大容量かつ低コストであることが必要です。既にAmazon Web Services(AWS)のS3など、多くのパブリッククラウドのサービスで実証されているように、オブジェクトストレージは極めて低コストでデータを保存することが可能です。

スケーラブルかつ並列書き込みで性能が落ちない

 IoTデータの伸び率は極めて予測が困難でしょう。つまり、急激な容量拡張の要求に対応できる高い拡張性と、拡張しても性能が落ちないことが求められます。この点でも拡張性に優れるオブジェクトストレージは適しています。

HTTPベース

 ほとんどのセンサーはHTTPベースでつながると考えられます。つまりHTTPベースでデータのやり取りをするオブジェクトストレージは理想的です。例えば、温度、湿度、風速、気圧、雨量などを測定できるセンサシステムを世界中に配置して、データを分析する場合、通信は最も手頃なインターネット経由で行うことが効率的でしょう。もちろんWi-Fiも含まれます。さらにセンサ数やサンプリング数が急速に増えたとしても、対応できる必要があります。HTTPと親和性が高く、極めて高い拡張性を持つオブジェクトストレージは、IoTデータの保存場所として理想的です。

 

この他の事例としては、ビル設備のインフラ、火災報知機やスプリンクラー、監視カメラやセキュリティ用のセンサー類のログ保存、異常検出などにも使われているケースがあります。

API対応

 HTTPと同様に、オブジェクトストレージで使われているRESTful APIは広く使われており、データの保存、読出し、移動を地球規模で自由自在に行うのには非常に適しています。

図:IoT、ビッグデータ分析におけるオブジェクトストレージの利用方法

 今まで8回にわたり、オブジェクトストレージについて解説してきました。次回は話題を変えて、最近注目されるサイバーセキュリティ事情からストレージの活用について探ってしてみたいと思います。

著者:井上陽治(いのうえ・ようじ)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 ストレージテクノロジーエバンジェリスト。ストレージ技術の最先端を研究、開発を推進。IT業界でハード設計10年、HPでテープストレージスペシャリストを15年経験したのち、現在SDS(Software Defined Storage)スペシャリスト。次世代ストレージ基盤、特にSDSや大容量アーカイブの提案を行う。テープストレージ、LTFS 関連技術に精通し、JEITAのテープストレージ専門委員会副会長を務める。大容量データの長期保管が必要な放送 映像業界、学術研究分野の知識も豊富に有する。

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