選手との疑似LINEにドキドキ? IoTやAIで野球を面白くする方法(1/3 ページ)

ITで野球の楽しさをもっと多くの人に伝えられるか――。サムライインキュベートとIBM、そして読売ジャイアンツが協力し、ファン増につながるアプリ開発を競う「ジャイアンツハッカソン」が開催された。最新のITトレンドを駆使した、そのアイデアとは?

» 2016年05月06日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 最近、球場やテレビでプロ野球を観戦した人はいるだろうか。シーズンが始まって1カ月ほどがたっているが、最近は地上波放送も減り、プロ野球そのものに触れる機会が減っているのが現状だ。

 各球団の観客動員数は増加傾向にあり、単純に野球の人気が落ちているとは言い難いが、他のスポーツ比べて、ルールを知らないと楽しみづらい面があるなど、ハードルが高い印象は否めない。「今まで野球に興味がなかった層を取り込みたい」というニーズは高く、各球団はさまざまな施策を打ち出している。

 2016年4月、東京・大手町の読売新聞東京本社で「ジャイアンツハッカソン」の決勝戦が開催された。読売ジャイアンツの試合や選手のデータなどを活用し、より多くの人が野球を楽しめるサービスを考えた5チームが、それぞれのアイデアを競い合った。

photo 「ジャイアンツハッカソン」の参加者たち。ハッカソンとは「Hack(ハック)」と「Marathon(マラソン)」を組み合わせた造語で、プログラマーやデザイナーらが数名のチームを組んで、新しいサービスなどのアイデアを出し合い、開発を競い合うイベントだ

ITの力でスマホ世代の若者や女性のファンを増やせるか?

 決勝戦は東京ドームの観覧やアイデア出し、アプリ開発といった3日間の予選を経て、13チームから勝ち上がった5チームの最終発表の場だ。プロ野球公式戦での1球、1打席、1試合ごとのデータ、試合出場選手のプロフィールデータ、試合戦評のほか、Webアクセス数などのデータを利用し、主催の日本IBMが提供するIBM Bluemixでアプリ開発を行った。

 プレゼンテーションでは、ピッチャーの配球に応じて側面に装着したLEDが光る(!)トートバッグ「COMMAND」や、打球方向の予測で遊べる野球盤「プロ野球BAN」、日刊スポーツが保有するデータを基に作ったコンシェルジュサービス「水道橋小町」など、バラエティ豊かで完成度が高いサービスが出そろった。

photophoto ピッチャーの配球に応じて、側面に装着したLEDが光るトートバッグ「COMMAND」(左)。日刊スポーツが作ったコンシェルジュサービス「水道橋小町」はLINEスタンプ1つでビールが注文できる機能を実装。サービス名は読売新聞の「大手小町」をもじったのだとか(右)
photophoto 打球方向の予測で遊ぶ野球盤「プロ野球BAN」は、ダウンロードやインストールの障壁をなくすため、あえて席に野球盤を置く方法を採用している

 本記事では5チームの中から、優秀賞と最優秀賞に選ばれた2つのアイデアを紹介しよう。両チームともIoTやチャットボットなど、昨今話題になっている技術を活用している点が特徴だ。

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