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» 2016年06月22日 07時00分 UPDATE

即席!3分で分かるITトレンド:コレ1枚で分かる「クラウドの歴史的背景」 (1/2)

クラウドはどのような時代の要請の下に生まれてきたのか――。1950年代以降のコンピュータの歴史をひもときながら解説します。

[斎藤昌義(ネットコマース株式会社),ITmedia]

この連載は

 カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。


コンピュータの歴史から見るクラウド

 クラウドが、今このような注目を浴びるに至った理由について、歴史を振り返りながら見ていきましょう。

初期の商用コンピュータから「汎用機」の登場へ

 Remington Rand(現Unisys)が、初めての商用コンピュータ「UNIVAC I」を世に出したのは1951年でした。それ以前のコンピュータは軍事や大学での研究で利用されているものが大半で、ビジネスの現場で使われることはほとんどありませんでした。これがきっかけとなり、コンピュータがビジネスでも利用されるようになりました。そして、当時コンピュータといえばUNIVACといわれるほど普及したのです。

 UNIVAC Iの成功をきっかけに、さまざまなベンダーが商用コンピュータを製造、販売するようになったのですが、当時のコンピュータは、業務目的に応じて専用のコンピュータが必要でした。そのため、さまざまな業務を抱えるユーザー企業は、業務ごとにコンピュータを購入しなければなりませんでした。

 高価なコンピュータを購入する費用ばかりでなく、コンピュータごとに使われている技術も違うので、異なる技術を習得しなければなりませんでした。また、今のように、プログラムや接続できる機器類もコンピュータごとに固有のものでした。そのため、運用の負担も重くのしかかっていました。

 コンピュータを提供するメーカーにしても、いろいろな種類のコンピュータを開発、製造しなければならず、大きな負担でした。

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 1964年、そんな常識を変えるコンピュータをIBMが発表しました。「System/360」(S/360)です。全方位360度、どんな業務でもこれ一台でこなせる「汎用機」の登場です。今でいうメインフレームです。

 商用だけでなく、科学技術計算にも対応するため、浮動小数点計算もできるようになっていました。さらに、技術仕様を標準化し、「System/360アーキテクチャ」として公開しました。

 アーキテクチャとは、設計思想あるいは方式という意味です。このアーキテクチャが同じであれば、規模の大小にかかわらずプログラムやデータの互換性が保証されるばかりでなく、そこに接続される機器類も同じものを使うことができました。このアーキテクチャの確立により、IBMは互換性のある設計でさまざまな価格のシステムを提供できたのです。

 また、アーキテクチャが公開されたことにより、IBM以外の企業がS/360の上で動くプログラムを開発できるようになりました。また、IBMに接続可能な機器の開発も容易になりました。その結果、S/360の周辺に多くの関連ビジネスが生まれていったのです。

 今でこそ「オープン」が当たり前の時代ですが、当時は、ノウハウである技術仕様を公開することは、普通ではなかったようです。しかし、アーキテクチャをオープンにすることで、S/360の周辺に多くのビジネスが生まれ、エコシステム(生態系)を形成するに至り、IBMのコンピュータは業界の標準として市場を席巻することになりました。

 このような時代、わが国の通産省は国産コンピュータメーカーを保護するため、国策としてS/360の後継であるS/370の「アーキテクチャ」を使ったIBM互換機を開発、1975年に富士通の「M-190」が初出荷されたのです。

 このように、IBMが絶対的な地位を維持していた1977年、DEC(現HP)がVAX-11/780といわれるコンピュータを発表しました。このコンピュータは、IBMのコンピュータに比べ処理性能当たりの単価が大幅に安く、最初は科学技術計算の分野で、さらには事務計算の分野へと用途を広げ、DECはIBMに次ぐ業界2位の地位にまで上り詰めていったのです。

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