ITの“カンブリア大爆発”ITソリューション塾(1/2 ページ)

約5億5000万年前に生物の爆発的な多様化が始まったとされる「カンブリア大爆発」。実は、同じことがITの世界にも起きようとしているのかもしれない――そんなITの進化の行方を、ITの歴史をひもときながら考察します。

» 2016年08月24日 07時00分 公開

「劇的な変化」と「持続的な変化」が複雑に入り組み進化

「歴史を振り返れば、変化のなかった時代など、かつてなかった」

 誰の言葉かは忘れましたが、好きな言葉の1つです。

 だからこそ、変化に向き合うことが成長につながるのでしょう。ビジネスもまた、変化に向き合い、適応していくことで生き延びてきたともいえます。そして、この言葉は、これからも同様に真理であり続けるはずです。

 この変化は、「劇的な変化」と「持続的な変化」が、交互に起こります。

 「劇的な変化」とは、ある大きな出来事がきっかけとなって、これまでの非常識を常識に変えてしまうきっかけとなる変化です。この段階では、変化はエポックメイキングな出来事であって、多くの人々に知られ、「きっと世の中が変わってしまうかもしれない」と人々が気付き始めます。しかし現実は過去の常識と混在し、その落ち着きどころを模索している時期でもあります。

 「持続的な変化」とは、その新しい常識が世の中に定着していく過程です。改良や改善を加えられ、もはや誰もが常識を受け入れ、適応して行く時期です。

 これをITのトレンドに当てはめて考えると、今の時代は、この2つの変化が大きく入り組んで混在し、複雑な変化を生み出している時代といえるかもしれません。

 私は、ITという言葉がまだなく、「コンピュータ」が全てだった時代からこの世界に身を置き、はや33年がたちましたが、このような「変化」はこれまでに経験したことがなかったものです。この複雑さが、ビジネスの将来を先読みすることを難しくしているのではないかと考えています。

Photo ITのカンブリア大爆発:歴史から振り返るITのトレンド

 次に、ITビジネスに関わる歴史を簡単に振り返ってみましょう。

1964年〜 メインフレーム

 1964年、IBMがSystem/360というメインフレームを世に出し、ビジネスでコンピュータが普及するきっかけをつくりました。

 1978年〜 ダウンサイジングとクライアントサーバ

 1978年に登場したDECのVAX-11/780の登場は絶対神メインフレーム(ホストコンピュータ)の信仰を崩し、1981年のIBM Personal Computer 5150の登場はPCがビジネスの標準ツールになるきっかけを作りました。

 1980年代も半ばを過ぎるころには、小型コンピュータやPCに役割を分担するダウンサイズの時代へと移っていきます。それと並行して、個人で使用するPCと複数ユーザーが共用するサーバコンピュータが、それぞれに互いの役割を分担し合う「クライアントサーバ」の時代を迎えます。1889年に登場し、多くの企業で採用されたLotus Notesは、そんな時代の象徴ともいえるでしょう。

1995年〜 Web時代の幕開け

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 1995年に、Windows 95(正確には、直後にリリースされたMicrosoft Plus! for Windows95)の登場とともに同梱されたInternet Explorer 1.0 は、ブラウザ時代の幕開けとなります。「インターネット」の普及とともに、ネットワークやITの民主化が進んだ時代です。

 これにより、ITは、企業利用だけではなく、個人利用という新たなユーザー領域を切り開きました。この新しいユーザーを対象とした「コンシュマーIT」という新たな進化の系統が生まれたともいえます。当初「インターネット」は、電子メールやチャットなどのコミュニケーション手段として、あるいは、Webページを閲覧する情報収集の手段として普及していきましたが、これがクラウドへとつながっていくのです。

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