「これから最もコンピューティングパワーが求められるようになるのは、シミュレーションとAIが融合した利用領域。幅広い分野で融合に向けた取り組みが活発化していくだろう」――。福田氏は図3を示しながら、こう語った。図2の捉え方をベースにしたものだが、これは取りも直さず、NECによるスパコンの進化の方向性を表しているといえそうだ。
今回の新プラットフォームがターゲットとする領域は図4の通りである。とはいえ、図にある「ものづくり」「セキュリティ」など6分野だけにフォーカスしているわけではなく、あらゆる業種・業態に広げていきたい考えのようだ。
福田氏は説明の最後に改めて、「NECが長年培ってきたベクトル技術を、これまでのシミュレーション領域に加え、新たにAI・ビッグデータ解析領域にも展開し、ビジネスを拡大していきたい」と強調した。
筆者が今回、この話題を取り上げたいと思ったのは、スパコンが進化した新プラットフォームの仕組みもさることながら、「シミュレーションとAIの融合」という考え方が興味深かったからだ。これまでIoTが生み出すビッグデータを、AIを活用して分析することに注目が集まっていたが、このプロセスにシミュレーションが加われば、どんなことが起きるのか。
また、福田氏は「シミュレーションとAIが融合すれば、やりとりを重ねることによって最適解を見いだす確率が高まる」とも語った。イメージとしては、シミュレーションとAIの間でPDCAを回す感じか。この点については、また図3を見ながら考えてみたい。
改めて、NECは今回の新製品を冒頭で紹介した福田氏の言葉にあるように、「デジタル産業革命の進展を加速させる次世代イノベーションプラットフォーム」と銘打っている。同社の心意気が伝わってくる表現だが、果たしてどれくらいの需要があるものなのか。新生スパコンとして打てる手を打ったようにも感じるだけに、今後の動向に注目しておきたい。
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