2018年はデジタルネイティブ企業(DNE)への変革の年――IDC、2018年の国内IT市場の主要10項目を予測(1/5 ページ)

IDC Japanによると、2018年はデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じてデジタルネイティブ企業(DNE)への変革過程になるとし、企業が生き残るための鍵は、新たなITを強力に生かせるかにかかっているという。

» 2017年12月15日 17時30分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 IDC Japan(以下、IDC)は12月14日、2018年の国内IT市場で鍵となる技術や市場トレンドなどの主要10項目を発表した。

Photo 「2018年 国内IT市場の主要10項目」

 IDCは、現在のIT産業は、IDCがICTを支える情報基盤と定義する「第3のプラットフォーム」(クラウド、モビリティ、ビッグデータ、アナリティクス、ソーシャル技術)の時代の「第2章」に当たる「イノベーションの拡大」の時期にあるとみている。2017年から2020年にかけて、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を通じて、「デジタルネイティブ企業(DNE)」に変革する過程にある企業組織と産業は「一度破壊され、再構築される」という。

 IDC Japanのリサーチ バイスプレジデントの中村智明氏によると、「2018年は、デジタルネイティブに生まれ変わる企業が出現する一方で、デジタルビジネスを創出できずに脱落する企業が出てくる年になる。ITサプライヤーにとっては、デジタルビジネスの良きパートナーになれるか、市場が縮小するレガシーシステムの保守ビジネスだけに甘んじるかの分かれ目の年となり、社内外の構造変革の実行を迫られる」という。

1.デジタルネイティブ企業が出現し、デジタルの文化を持つベンチャー企業と組んだ新ビジネスの創出が始まる

 IDCは、2017年はDXの重要性が認知され、国内大手企業においてDNEへのトランスフォーメーションを目指す行動が開始されたエポックの年だったと分析している。

 これまでに、従量課金制でサービスを提供する「シェアリングエコノミー」、データそのものを販売するのではなく、データを利用して得られる価値をサービスとして提供する「データ資本」、収益だけでなく損失もシェアする「リスク/リワードシェア」といったDXの新しいビジネスモデルが登場している。IDCは、こうしたDXの新ビジネスモデルを「FoC(コマースの未来)」モデルと定義し、FoCを実現するには、IoT、モバイル、クラウド、AIのように複数の技術を組み合わせないと解を生み出せないと指摘する。

 DXを企業に提案するITサプライヤーに求められているのは、DXファーストの大企業と組んで新しいビジネスを創出していくベンチャー企業のように、縦割りになっている既存の事業部の軸を超えた組み合わせの提案を行う能力だという。

2.企業の成長と存続を左右するDXへの支援能力が、ITサプライヤーの選択基準になる

 企業は、DXを通じてビジネスモデルを変革し、顧客や消費者だけではなく従業員や外部パートナーも含めエコシステムを形成するステークホルダーに、新たな体験価値を提供し、DXエコノミーで経済的な成功を収めることが求められている。そのためには、経営トップがリーダーシップを発揮し、全社的な変革のビジョンとゴールを示し、それにコミット(確約)することが不可欠となる。

 IDCは、多くの企業にとってリーダーシップ変革とオムニエクスペリエンス変革の強化が大きな課題になっており、企業のパートナー選定に変化が生じていると分析する。

 ITサプライヤーに求められる役割は、もはやRFP(提案依頼書)を前提とした請負開発や、クラウドやAI、IoTなどの個別技術の提供ではなく、企業がDNEにシフトするためのプロアクティブな支援であり、そのために必要な全体ソリューションの提供だという。

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