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» 2018年09月05日 07時00分 公開

経営の数字を変えないIT投資は意味がない ライザップIT部門のトップが語る「これからの情シスの役割」 (1/2)

「システム投資をする上で私自身がとても重要視しているのが、経営の数字をいかに変えていくか”。これを徹底してやってきた」――。これがライザップのIT部門を率いる岡田章二氏のポリシーだ。同氏は難しいといわれる“経営と一体化したIT投資”をどうやって実現しているのか。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo RIZAPグループの取締役で事業基盤本部の本部長を務める岡田章二氏

 ぽっちゃり体形の人が、みるみるうちに痩せていく――。芸能人や文化人を起用したCMで注目を集め、ダイエット産業に革命を起こしたライザップ。基幹のボディーメイク事業とのシナジー効果を狙って、次々と新事業の立ち上げや企業買収を行っている同社のIT施策は、経営と密接に連携していることで知られている。

 IT基盤全般の責任者を務めるのは、衣料大手のファーストリテイリングで長年、システム部門を率いてきた岡田章二氏だ。2016年11月の入社以降、IT基盤の刷新や情報システム部門の立ち上げといった社内IT環境の改善に加え、ITを活用したライザップ事業の効率化に着手。“売り上げの向上につながるシステム改善”を手掛けてきた。

 その効果もあって、同社の業績は好調に推移。売上は、同氏が入社した2016年の539億円から翌2017年には952億円に拡大。今期は2500億円を目指す。営業利益も2017年度の102億円から2018年には135億円に伸び、今期は230億円を目標としている。

 難しいといわれる“経営と一体化したIT投資”を、岡田氏はどうやって実現しているのか――。8月29日に開催された、「BSIAシンポジウム2018」で、同氏がその方法を語った。

Photo RIZAPグループの決算概況。売上、利益とも好調に推移している(出典:RIZAPグループ決算資料)
Photo 事業基盤本部の組織構成

重視するのは、IT投資で“いかに経営の数字を変えていくか”

 「システム投資をする上で私自身がとても重要視しているのが、経営の数字をいかに変えていくか”。これを徹底してやってきた」――。岡田氏は、これまでのIT施策をこう振り返る。システムを入れることを目的とするのではなく、“現場のどのような課題を解決するためのシステムなのか、導入によって目標とする数値をどこまで達成できたのか”を可視化し、検証してきたという。

Photo 2017年の事業基盤本部の取り組み

 例えば、2017年4月に改修を行ったライザップのカウンセリングシステム「ボディナビゲータ」は、改修の目的に「契約率の向上」を据え、あらかじめシステム投資額に対する回収期間を設定。回収額を月次で追いながら、「カウンセリングで話す内容や、カウンセリング時間の使い方」といった業務面の改革も合わせて行うことで、確実な目標の達成を目指した。その結果、契約率が大きく改善されたという。

 予約システムの刷新も、経営課題の解決につながった取り組みの1つだ。以前は顧客が予約を変更をする場合、コールセンター経由でのみ受け付けており、そこから担当者が店舗に連絡していたが、この方法では電話したときにセッションルームやトレーナーの空き時間が分からず、顧客は“来店できないことを伝えるだけ”で終わっていた。この“再予約の機会損失”を減らすため、アプリを通じた予約の変更に対応することで、顧客の来店率とトレーナーの稼働率向上につなげたという。

 アプリを通じて顧客の来店やキャンセルの情報をリアルタイムで集約し、可視化することで、顧客は瞬時に予約を変更できるようになり、一人あたりの来店率もトレーナーの稼働率も10%単位で上がったという。もちろん、この取り組みについても、投資回収期間を設定し、「利用ユーザーの割合」や「利用者のセッション数」などをベースに回収額を算定してROIの推移を可視化していた。

 CRMの取り組みも同様だ。10月から立ち上げたCRMでは、チャットによる接客や来店フォロー、コールセンター基盤の整備をすることで、電話による契約率がアップ。チャット対応の予約窓口も好評で、深夜に入会する人も増えているという。

Photo 事業基盤本部の成果とKPIの要素

 今後は、相談に訪れた人がどんな体になりたいのか、理想の体になるためには何をどれくらいすればいいのか、どのくらいの時間がかかるのか――といったことをシミュレーションできるCRMの仕組み作りを目指しており、全顧客の記録をリアルタイムでデータベースに取り込み、ビッグデータとして活用する計画。集まったデータはAIを使って分析し、顧客サービスの向上につなげたい考えだ。

 「それぞれの取り組みでKPIを設定していて、それがどう変化したかを毎月追いかけている。投資から何カ月で元をとったのか、例えば狙いが『10%の来店率向上』なら、それが達成できたかどうかを社長と一緒に検証している。このような方法で、経営改革とシステム投資の方針をつなげる取り組みを行っている」(岡田氏)

Photo ライザップサービスへの最新技術の取り入れ方
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