仕事や会社を選ぶ際に大事なのは、よくいわれる「自分の特性ややりたいことを見極める」ことではなく、「腹をくくる」こと。それにはまず、これまでの「会社選び」の視点を見直してみる必要があります。
この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズでは、来春に社会人になる学生を対象に、5日間のサマーインターンシップを開催している。経営課題の解決を目指すコンサルティング業務をワークショップスタイルで経験してもらうもので、ケンブリッジのメンバーと学生が1つのチームになって課題に取り組む。
2018年のサマーインターンシップでは、ケンブリッジがビジネスパーソン向けに開催する「短期集中ワークショップ」と同じスタイルで、「ケンブリッジが抱える経営課題を解決する」というテーマに取り組み、改善提案をしてもらった。
僕らは学生たちと一緒に改善策を作る。極力、皆さんの自主性に任せて、検討の難所やチーム内で意見対立が起こった時に介入するスタイルだ。実際のコンサルティングプロジェクトでも、同じように実施することが多い。一領域を数人のコンサルタントに任せて、プロジェクトマネジャーは難しい議論の方向付け、意見対立の解消などをする。もちろんガッツリプロジェクトマネジャーがリードすることもある。
集中討議のようなスタイルで改善策をまとめらもらった結果、4チームから提案をもらい、2つは即採用、1つはトライアルで運用開始、1つは部分採用となった。どれも本当に素晴らしい提案だったし、彼らと5日間をともにして、多くの気付きがあった。彼らの優秀さと前向きさに、ある種の感動を覚えるくらい、お世辞抜きに無限の可能性を感じた。
一方で、いくら素晴らしい可能性を秘めていたとしても、「会社の選び方」や会社を選んだ後の「仕事との向き合い方」を間違えると、その可能性が途端に閉ざされてしまう。持っている可能性が大きいだけに、進路選びは慎重にしてほしいところだ。
そこで、少しでもヒントになるように、「ファーストキャリアの選び方」と題して、「会社選び」と「入社してからの仕事」について、僕の考えを整理してみたい。今回から、4回に分けて紹介する。プレ社会人だけでなく、新社会人や、そういった新メンバーを指導する立場の方にも役に立つのではないだろうか。
当たり前だが、会社選びに「100%の正解はない」。
正解を追い求めようとすると、いつまでたっても“後ろ髪を引かれ続ける”ことになる。「もっといい会社があるかも」「やりたいことは本当にこれなのだろうか?」などと考え続けても答えはない。そして、どこか後ろ向きな社会人生活が始まる。「あっちの会社だったらどうだったかな」「選び間違えたかも」などと考えても意味はない。
繰り返すが、正解はない。その時点で「納得」いく会社を選び、自分で「意味付け」をし、そこで得られる経験を「最大限生かし」ていくしかない。つまり、大事なのは、「正解を探す」のではなく、「腹をくくる」ことだ。
会社選びだけではない。社会に出ると、一事が万事、こうなる。どんなときも、絶対的な正解は存在しない。ある程度の不確実性を飲み込み、「腹をくくって決断する」しかないのだ。これがうまくできるかどうかで、その後が大きく変わる。
では、どうやったら腹をくくれるのか?
よくいわれるのは「自分の特性や、やりたいことを見極めろ」という話だ。確かに、やりたいことを見極められたら、会社選びも苦労しないだろう。でも、ちょっと待ってもらいたい。
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